Amazon.co.jp: 恐るべき欧州戦―第二次大戦知られざる16の戦場 (光人社NF文庫)
メインタイトルはかなり投げやりな感じですが、サブタイトルは内容を過不足無く表したもの。第二次世界大戦欧州戦線の愛好家でないと面白みが分かりにくいような小ネタ集本。
初心者ではないけれど軽めの話も好きな愛好家が気軽に読むのに丁度いい感じ。
第一章「恐るべき二重スパイの実力」
ドイツはイギリス領内に飛行機や船でスパイをどんどん送ったけれど、彼らは
- 近隣住民から通報され即逮捕
- バーの酒販売許可時間を知らず、販売禁止時間に酒を買おうとし怪しまれて即逮捕
- ドイツのソーセージを食べていたので即逮捕
- 食べ物を買うときに代金が10シリング6ペンスでいいところを、桁数を見間違えて10ポンド6シリングを支払い怪しまれて即逮捕
と片っ端から逮捕されまくり。
その後はドイツにガセ情報を送る仕事をせっせとさせられていたとさ。
さまざまな駄目駄目さと複雑さが入り交じったスパイ戦物語。
第二章「ヒトラーの総統本営」
鉄道車輌利用の「機動総統本営」から、有名な「狼の巣」まで、ヒトラーのわがまま(?)であちこちに作られた総統本営についての解説。
総統本営「狼の巣」で行われた、反ヒトラー集団「黒いオーケストラ」によるヒトラー爆殺作戦が失敗した理由の解明もあり。
クラウス・フォン・シュタウフェンベルク - Wikipedia
Wikipediaのヒトラー暗殺実行者の解説は細かくて凄いです。
第三章「テストパイロットが語るドイツ試作機の最前線」
ハインケル社のテストパイロットが書いた手記の翻訳が中心。
「bf109F戦闘機」での武装作成、捕獲した「P36戦闘機」試乗、問題だらけだった「He177爆撃機」同乗記、世界初のジェット戦闘機「He280」のテスト
などなど・・・
この手記を読んだ感じだと「He280」はかなり危ない機体で、メッサーシュミット社の「Me262」に負けてしまった理由が何となく分かります。