- 1 孤児発生
シュリーカーは簡潔な命令のループで、種子間に生じた未発達なネットワークにパルス流を供給する。そのネットワークの通路が、シェイパーの作ったもっとも高い畝であり、パルスはそれより一、二ステップ高いちっぽけな矢尻だ。シェイパーは四次元で作業してきたので、ネットワークそのものは三次元だった。
「セル・オートマトン」で新しい個体が作られる場面でこういう文章があるけれど、「四次元で作業してきた『ので』」って何なの。
- 2 真理採掘
作中で主人公がセッセと考えていた「ガウス・ボネの定理」を自分でも理解し達成感。でも、その理解が本当に正しいのかを教えてくれる人はいない。そしてそういう人がいたとしても、まともな日本語で説明したり質問したりできる気がしない。映像的な理解。
でも、「分かる気持ちになる」ということそのものが最上の感情移入になった。
- 3 架橋者たち
電子人類の感覚や、それに合わせた物事の再定義に慣れてきたせいか、この部になると急に読みやすくなった印象に。登場人物にとっても読者にとっても新たに獲得された感覚の世界に進出です。ここは比較的気軽に楽しいと言える。
- この本は解説に「意味が分からないところはバンバン飛ばせ」って書いてあってそれは正しいと思うけれど、分からないのは悔しいから地道に進む。
- 巻末の解説に「はてなダイアリー」を使用して作られた解説ページのアドレスが載っててビックリ。インターネットサイトはやたら移転したり、やたら閉鎖*1したりで寿命があまり長くないのが普通で、アドレスは雑誌以外の紙媒体に載せるものじゃないって感覚を引き摺っていたから。
本にも載った解説は、このページです。
ディアスポラ数理研 - JGeek Log
- あたし中卒やからね 数学分からへんのやと書いた 女の子のblogの文字は とがりながらふるえている
*1:この項とはあまり関係ない話ですが、よく「更新できないのでサイトを閉鎖する」という方がいて、「更新できないこと」と「閉鎖すること」に何の関連性があるのか全然分からないので不思議な感じ。