放課後は 第二螺旋階段で

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「ラーゼフォン―時間調律師」 神林長平

ラーゼフォン―時間調律師 (徳間デュアル文庫)
Amazon.co.jp: ラーゼフォン―時間調律師 (徳間デュアル文庫)

ねだるな
あたえて
かちとれ

「もう何度、繰り返したのだろう?−−−ドーレムの襲撃によって死んだはずの村瀬明は、十六歳の少年として目覚めを迎えた。生と死のリフレイン。彼にわかっているのは、もうすぐこの東京がMUの攻撃にさらされるという事実だけ。しかし今回は違った。パソコンのチャットを通し、異空間に存在する”自分”から、この時間ループを抜け出すには、<ラーゼフォン=未知なる音を奏でる太陽神の乗り物>を見つけ出すことだと知らされる……。
アニメ『ラーゼフォン』の世界を再構築した書下ろしシェアワールド・ノベル。

ぼくは原作アニメに関する記憶が「テーマ曲がドラマ的で楽しかった」以外無いのと、この小説のベースになっているエジプト神話のことを全然知らないので、それ系の用語の多さはちょっと辛かった…
1人の人物が普通の名前と、世界を規定する神話内での役割の名前と複数を持っている構造をしているのに、物語の尺が短くそれを飲み込むのに使える時間が短いので、誰が誰なのかを把握するのがなかなか難しい。


主人公は無数の生を終えた後で、生を終えることができないということに苛立っているという存在なので、時間の円環を断ち切り調律するためにラーゼフォンを動かすということへ迷い無く一瞬も立ち止まらず突き進むのですが、無数の生を終えた後では無い読者の自分から見ると、あまりにも勢いがありすぎて置いてけぼり感もあったり。
主人公が飽きるほど出会っている人物でも、読者にとっては初対面なのに、そういうことにはお構い無しに読者が人となりを飲み込むより先に主人公側の都合で片付けられて話が進んでいってしまう。


自分にとっては、面白いとか面白くないとかを考える暇も無く進んでしまう、あまりにも勢いがありすぎる物語でした。

ラーゼフォンというデウス・エクス・マキナを使うことを目指す物語だから、無茶な勢いになるのは必然だった?


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