放課後は 第二螺旋階段で

「どうなるもこうなるも、なるようにしかならないのでは?」 筆者の気の向くままに書き連ねるクラシックスタイルのblogです。

「今宵、銀河を杯にして ハヤカワ文庫JA」 神林長平

今宵、銀河を杯にして
Amazon.co.jp: 今宵、銀河を杯にして


飲んではハイに
醒めては灰に
飲もうぜ
今宵
銀河を杯にして



地球アンドロイドと、異星人バシアンが戦っている惑星ドーピア。地球人軍は地球アンドロイドを支援するために、そこに軍を派遣していた。
だが、高度にコンピュータ化された地球人派遣軍は、消滅した部隊を大勝利し続けていると認識してしまったり、脱走したコンピュータが野生化してしまったりする、すさまじい出鱈目ぶりだった。


そんな軍隊に所属する、お酒を飲んで、ナンパをして、のんびり暮らすことを心から望んでいる戦車兵コンビ、アムジ・アイラとクアッシュ・ミンゴ。
彼らは戦死するのは絶対に嫌なので、指揮コンピュータをごまかして出撃命令を受けないようにしたり、自分たちの愛車「マヘル-シャラル-ハシ-バズ」を熱心に整備しては、ウインカーの玉切れといった重大な故障を見つけて戦闘不能状態になり、できるだけ戦わずに暮らしていた。


こんな彼らの戦車の車長として、自称戦車戦の天才の若い新任士官、カレブ・シャーマンがやってくる。
能天気な戦車兵コンビと、まじめだけど間抜けなところがある士官と、戦車との奇妙な連帯感の物語。
皆と仲良く動き回る戦車「マヘル-シャラル-ハシ-バズ」は、あんまり大事にされるから読んでいる自分も愛着が出てきて、「ただの機械」のはずなのに、危機から脱するとほっとし、大活躍すると嬉しくなる。この感じはすごく好き。
お酒と女があれば幸せな兵隊たちのかけ合い、兵と士官の噛み合わなさ、士官の恋人思いっぷりもユーモラスで楽しい。


機械と人間との関係性についての考え方は「戦闘妖精・雪風」と同じライン上にあるけれど、「失恋」という感じだった「雪風」と違って、「両思い」という感じでの作品で、とても暖かい印象。

メカラブコメ


表紙絵は戦争劇画で人気の小林源文