放課後は 第二螺旋階段で

「どうなるもこうなるも、なるようにしかならないのでは?」 筆者の気の向くままに書き連ねるクラシックスタイルのblogです。

 「シルヴァー・ゴースト Silver Ghost -The Xeelee Chronicle-」 スティーヴン・バクスター

 「身体の中心部の熱を必ず守れ。それがきみにとって今、もっとも重要なことだ。忘れるな・・・・・・」
 血気盛んで勇敢な宇宙開拓民の地球少女が乗っていた調査宇宙船は、事故により宇宙背景放射ほどの気温しかない極寒の遊星に墜落してしまった。
 凍死の危機に見舞われた彼女はそこで全身が鏡のような球体の宇宙生物「シルヴァー・ゴースト」と出会う。


 巨大な仮想宇宙史「ジーリー・クロニクル」の断片作。


 スタニスワフ・レム的な「人類に理解できる程度の異星人は異星人の被り物をしている地球人にすぎない」といった感覚を支持する自分は、今作のあまりにも人類的すぎる宇宙人との対話にうまくのることができませんでした。見ず知らずの宇宙人から地球人的(あるいはキリスト教徒的)な慈悲深い自己犠牲なんてされてもどうしようもないです。
 それでも、外惑星など問題にならないほどの極低温の世界や、それに対応し熱放射を最小限に抑えるために生まれた表面積が最小になる球形の身体と鏡面状皮膚、エネルギー高効率化のための群体生活といった戦略を選んだシルヴァーゴースト人のイメージは格好いい作品です。


 スティーヴン・バクスター作品は「イメージは格好いいけれど、小説としてはそれを完全に生かし切れていなくてアラが多い」という印象があります。


 「SFマガジン2003年2月(通巻562号)スティーヴン・バクスター特集号」に掲載。