放課後は 第二螺旋階段で

「どうなるもこうなるも、なるようにしかならないのでは?」 筆者の気の向くままに書き連ねるクラシックスタイルのblogです。

アメリカ陸軍の戦車駆逐車進化入門

 最近アメリカ軍戦車駆逐車運用開発ドクトリンについて書いているいろいろクドい話. すこしバテ気味・・・。を読んでいたら、車種ごとの性能が分からなくなったり、進化の系統が分からなくなってきたのでまとめてみました。
 共通する運用の基本は、敵戦車の到達予想位置に高速で駆けつけ高速で仕留めて高速で去るヒットエンドラン。
 装甲厚は敵戦車の徹甲弾に耐えられない程度でも十分とする。

予備知識

 アメリカ陸軍の戦車砲は基本的に以下の3つ。

  • 75mmL40

 M4シャーマン前期向け。
 榴弾炸薬量が多い代わりに貫通力は低い。
 タイガーIなどが相手では側面に当てても相当な確率で弾かれる。


 1000mで垂直装甲80mm程度貫通

 タイガーI戦車 砲塔車体側面装甲80mm

  • 76.2mmL52

 M4シャーマン後期向け。
 口径拡大と砲身延長で徹甲弾貫通力大幅アップ。何故か榴弾炸薬量大幅減少。
 同口径同砲身長で2形式あり、M10とM18で形式が違うという情報があるものの確認不能。性能が大幅に違うということは無いはず。


 APCBC通常徹甲弾
 1000mで垂直装甲100mm程度貫通
 より強力なAPCR(アメリカ軍呼称HVAP)高速硬芯徹甲弾もあり。貴重なためほぼ戦車駆逐車専用。

 タイガーI戦車 砲塔車体正面装甲100mm


 イギリス軍装備の17ポンド砲は同じ76.2mm口径+L58+APDS離脱装弾筒付き超高速硬芯弾(88mmL71並の化け物じみた貫通力はAPDS弾との組み合わせ効果で、通常徹甲弾なら76.2mmの標準に近い貫通力)

  • 90mmL50

 M26パーシング向け。根本的な大型化。


 APCBC通常徹甲弾
 400mで垂直装甲130mm程度貫通
 1800mで垂直装甲100mm程度貫通


 APCR(米軍呼称HVAP)高速硬芯徹甲弾
 900mで垂直装甲200mm+程度貫通
 1800mで垂直装甲100mm程度貫通(軽いので空気抵抗で減速してしまう。APCBCとほぼ同じ)

  
 タイガーII戦車 砲塔正面装甲180mm 車体正面装甲150mm

M10

 一番最初の戦車駆逐車。
 M4戦車ベースで装甲を薄くし軽量化された車体+76.2mmL52砲。
 車体がM4ベースなので速度はM4より速い程度(50km/h到達不能)
 索敵力に優れるオープントップ砲塔。榴弾には弱い。現地改造で屋根を取り付けている場合もあり。
 軽量砲塔+重量砲のため砲塔後部にカウンターウェイト搭載。


 イギリス軍ニックネームは「ウルヴァリン」(クズリ。北米に棲む大型イタチより)
 イギリス軍が17ポンド砲に載せ替えた仕様は「アキリーズ」(ギリシャ神話に登場するアキレスより)

M18ヘルキャット

 二番目の戦車駆逐車。
 完全新設計で最高速度80km/h+という圧倒的機動性を持つ車体+76.2mmL52砲。
 一般的な屋根付き砲塔。
 至近距離からなら歩兵銃にも貫通される薄すぎる装甲。見た目は精悍でも実は弱い。

M36ジャクソン

 三番目の戦車駆逐車。
 M10ベースの大型化車体+90mmL50砲。
 車体がM4ベースのM10ベースなので速度はM4より速い程度(50km/h到達不能) 
 索敵力に優れるオープントップ砲塔。榴弾には弱い。現地改造で屋根を取り付けている場合もあり。
 軽量砲塔+重量砲のため砲塔後部にカウンターウェイト搭載。

私見と感想

 オープントップ車両を平気で対戦車戦闘に投入するアメリカは気合が入ってますね。ドイツ軍の戦車エース、オットー・カリウスの戦記に出てくるような、榴弾を地面でバウンドさせて空中で炸裂させるテクニックを使われたら絶対助かりっこないです。


 M18ヘルキャット+17ポンド砲の「アキリーズII」を作ったら最強だったのでは?と妄想してしまう進化パターン。大型の17ポンド砲は砲塔に納めるのが不可能な感じもしますが…でも砲塔のみ軽量簡易オープントップで完全新設計すれば何とか…それでも重量バランスが限界を超えて悪くなるかな…


 M36ジャクソンはベース車体にM10を選んでいるのが意外です。機動性に優れるM18ヘルキャット車体を使わない。装甲があまりにも薄すぎたから?積載量余裕が小さすぎたから?
 M18ヘルキャットのほうはM36ジャクソン砲塔を搭載した仕様の試作品が存在したようです。(ということは上に書いた「アキリーズII」も不可能ではない?)