2008年年末年始の騒ぎが一段落して眠りについたぼくが、2009年1月1日の深夜になって目覚めて何となくテレビをつけたとき放送されていたのが『鉄コン筋クリート』でした。
劇場で公開されていた頃*1は、見れば間違いなく傑作と分かりつつも、知人が制作に関わっていることからくるコンプレックスから正視できなかった作品だったのですが、最近はその感覚も薄れ、アニメーションというワンクッションがおかれる媒体のためか、わだかまりを忘れて見通すことができました。
「我」が「我」として生き延びようという意志を描く原作のハードボイルドストーリー。
マイケル・アリアスによるトータルデザイン。
スタジオ4℃によるグラフィックの描き込みとアクション。
Plaid によるエレクトロニカミュージック。
全てが自分の好みに噛み合った作品で、もしも仮に自分が富豪で数億円をアニメ映画に投資して今作が仕上がってきたのなら本当に満足するというくらいにピンポイントな構造です。
そして今作がきっかけで、2000年代の末にもなって、松本大洋のファンになりました。
コンプレックスを一つ乗り越えられた感じがします。
*1:2006年12月