田舎の町で小さなお店をやっているお父さんのところに、昔敵のギャングがやってきた。
普通の人が、平和な家族が、銃をとるしかないという状況。それが家族の愛情を確かめるものとなるのは端的に言って「歪み」だ。
敵をきちんと撃ち殺して父を危機から救ってくれた息子を、無言のまま抱きしめるシーンはその結晶であり、見ていて辛い。
ホラー描写で知られるデヴィッド・クローネンバーグ監督作とはいえ、今作での使い方は怖さではない。あまりの厳しさに耐えきれず泣きだしそうになるような、行き過ぎた強度の家族愛を形作るための要素である。
時間はたったの90分ほど。
(ただ一つの願い事を叶えるという奇跡が「歪み」となり、後に重みで押しつぶされそうになるアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』が流行り、自分も楽しんでいる今、思考の源泉になっているのを思い出したため、2007年6月13日の草稿をエントリ化しました)
この「歪み」ニュアンスを短くまとめると
「英雄を必要とする時代は不幸」という有名な言葉の変形から現れた「英雄を出現させるために不幸になる」物語。