海は、人々に多くの恵みをあたえてくれると同時に、人々の生命をおびやかす過酷な試練をも課す。海は大自然の常として、人間を豊かにする反面、容赦なく死をも強いる。
本書は、海と共に生きる土地である三陸を明治29年、昭和8年、昭和35年に襲った3つの津波の記録である。
2011年に生きている私は東日本大震災にともなう津波のHD高画質映像を多数見ていたため、簡潔な文体から浮かぶ景色は今までになく緻密なものとなりました。著者の吉村昭の中に浮かんでいたものよりも正確性は高いものになっていたのではないかと思うほどです。
人類史上最も映像記録が豊富な災害の一つなのは間違いないでしょう。
古来より繰り返し津波に襲われている三陸地方でさえ、津波と津波の間が人の一生に対して長すぎるせいか「今津波が来るはずがない」という正常性バイアスによる逃げ遅れが非常に多いという全知になれない限界、そして現代型気象庁の警報システムがそれを打ち破り多数の人を救っていることを強く意識しました。
情報×速さ=結果!