放課後は 第二螺旋階段で

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「『ガンダム』の家族論」 富野由悠季

 家族とは無償の愛と安らぎを与えてくれるものなどではない。家族とは運命に導かれて偶然めぐり合った者同士であり同質性など無く必然的にぶつかり合うものだ。それにより多様な脅威に対抗できる最小の部隊となる。人類が生み出した叡智だ。だから同質性を前提とする恋愛結婚など現代の流行にすぎない。
 そんな視点をこの本で得ました。

 第二の軸は、今までの富野作品における主人公の家族と世界をつなぐ描き方についての思考記録で、研究者であるアムロの父を通してスペースコロニーに住む人々の社会構造を描き、トリトンや神勝平は家系により自然と戦いへ誘導される。キャラクターと世界観における垂直統合構造。ガンダムF91のリィズともなると、それに加えて希薄な家族間のつながりでも伝えられるものがあるはずだという祈りも込めた造形へ。

 タイトルや帯の印象に反してファーストではなくF91中でもリィズ、ブレンパワード伝説巨神イデオンのドバ司令を思考の中心に置いたおそらく初の書籍です。


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