放課後は 第二螺旋階段で

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インテリのチャー研 / 空飛ぶゆうれい船

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 宮崎駿が製作に参加していること、社会派のシナリオであること、見る機会が少ないことで有名な作品である。

 実際に鑑賞したところ、ツッコミどころ満載。
 軍産複合体の脅威と、それを図らずして育ててしまう更に上位にいる自覚のない民衆という発想面では優れているが、60分のシナリオにして固定する能力はチャージマン研レベルでしかないため一本調子のセリフと超展開の連続となっている。
 「ちくしょうめ」言い過ぎ。不要不急の生き別れしすぎ、再会しすぎ。

 作中で繰り返し流れる「ボアジュース」のCM映像は、制作当時(1969年)ごろの名作CMを彷彿とさせるウィットに富んだ表現で、二人のガンマンがカウンターに並ぶ奇数本のボアジュースを端から飲んでいき、最後の1本になった瞬間に両者銃を早撃ち両者死亡、昇天している最中に1本を2人で分けるというもの。単純な面白さと共に暗喩的でもあり不思議な怖さがある。

 作画面では、宮崎駿の特徴的な建築物崩壊描写*1のほか、機雷・爆発水柱のじっくりとした描写が第二次世界大戦の記憶が新しい時代ならではと思わせるような独特のスケール感を持っている。
 ボアジュースの効果で人が皆溶けていなくなってしまった街の中を、無人となった国防軍の戦車が車内で瓶の転がるカラカという音を残してただ真っ直ぐ淡々と走っていくシーンは印象的であった。

*1:破片をまた集めたら元の形に戻せそうで、戻せない感じ。キャラクター化されている。