放課後は 第二螺旋階段で

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飛行機よりも前に発明された機材 「航空図のはなし 改訂版」 太田弘

航空図のはなし (交通ブックス)
Amazon.co.jp: 航空図のはなし (交通ブックス)


 航空図を入手したものの見方がよく分からない部分があまりにも多かったためこの本を読みました。世界でもほとんど類書のない、ユーザではない一般人向けの航空図本です。

 航空図の製図法、歴史、種類と使い分け、パイロットインタビュー等どれも他の書籍・雑誌で見ることの無い内容の連続。あまりにも大量の情報が盛り込まれているため、正直に言ってしまうと半分も理解できているのかあやしい程です。航空図の原理原則をこれ1冊で学べます。実践的な読み方は少なめですが、それは操縦士向け教科書等を読んでカバーすれば良い部分ということでしょう。
 
 著者は地図学という学問を専門にしているそうで、私はその存在さえ知りませんでした……

航空図の種類

 単に航空図といっても、国際航空図・計器着陸図・着陸図・飛行計画図・飛行場障害物図・エンルート(航空路)図・有視界進入図・精密進入地形図・飛行場図・標準出発図・駐機格納図……と、状況に合わせ縮尺も図法も違う地図が多数使用されている。

 狭い中たった一人で長距離活動する単座戦闘機のパイロットなどは一体どうしているのか不明。

航空図の製図法

 大圏航法を使用しないのならごく普通のメルカトル図法でOK。等角航路が直線で表せるため扱いやすい。

 大圏航法を使用するならそのルートが直線で図上に示される等角図法が必要。ランベルト正角円錐図法から発展した割円錐図法が使われている。地球表面を、赤道を底面とする円錐面の一部とみなす方法。円錐は、地球と接する位置が2つの線(円錐の直線部から地球が少しはみ出る)となるように設定する。この2線が標準緯線となる。

航空図の使用法

  • 高高度でのVFR(有視界飛行)は不可能。あまりにも地上から遠すぎて地形を認識しがたい。日本では、右に太平洋、左に日本海という景色もまったく珍しくないほどの視界という。
  • 航空図は差し替えが非常に多いため、いくらカキコミで作りこんでもすぐやり直しになってしまう。航空図製作最大手のジェプセン社内では、古い航空図はラックから床に散らかして後でまとめて回収処分しているほど。
  • 古い航空機では機内照明が赤いので赤でカキコミすると全然読めなくなってしまう。(F-4 Phantom II など)

航空図の飛行場データと無線の使用法(日本の場合)

 TOKYO INTL 6 LH 30 ならば
 TOKYO INTL空港は標高6m*1、Lで照明設備あり、Hで舗装滑走路、30で全長3000m。

 数字は周波数Mhzで

  • TWR (ToWeR) 管制塔
  • APP (APProach control) 進入管制
  • GND (GrouND contrl) グランドコントロール
  • ATIS (Automatic Terminal Information Service) 飛行場情報放送業務(気象情報、VOR、ILSの運用状況等を受信)
  • RDO (airport advisory service) 航空管制運航情報官によるトラフィック・気象情報提供を受ける。管制官と異なり命令は出すことができない。交通の少ない空港。

航空図の歴史

  • 1888年にロシアの砲兵隊員 Herman Moedebeck により世界初の航空図が制作された。これは航空機が発明されるより前である。(ライト兄弟の初飛行は1903年)この頃のユーザは気球の乗員。
  • 民間機用の地図はアメリカのジェプセン社という企業が最大手で、合衆国政府機関のものよりも先行している。この企業の創始者は1930年代の民間機パイロットで、その頃は専用の航空図は製作されていなかった。
    • 1930年代のヨーロッパや1940年代にアメリカ自身が行った航空戦を思うとちょっと信じがたい遅れですが……
  • 現在のジェプセン社はボーイング社の子会社となった。
  • アメリカにおいて、1939年に無線方向探知図の開発が開始。LORAN航法装置がアメリカ東海岸に整備されたのは1941年。対応地図もそれ以降。
    • 零戦に搭載されてもあまり使われなかったクルシー航法装置ことNDB(Non-Directional Beacon)無指向性無線標識はアメリカでも決して枯れた技術ではなかったようです。

具体的な航空図の読み方を学ぶならこのページ

Sectional Chart 区分航空図
http://www.cfijapan.com/study/html/to199/html-to199/182c_answer.htm
 このサイトで85%位まで分かるようになりました。

*1:高度計はフィート式しかなくてもメートル法