放課後は 第二螺旋階段で

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歌声に作られた世界「モスラ」

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 実は見たことがない有名映画を見るシリーズその2。

 無人島とみなされ核実験場となっていた南方のインファント島に日本漁船が漂着。その島には放射線によるダメージを受けない謎の薬学を持つ原住民が生活しており、さらには謎の妖精、小美人たちが存在した。小美人を見世物にするために誘拐した外人ネルソンを追ってモスラが征く。

 この作品は世界観が戦中派である。

 具体的に説明するのは困難だが、南方の生活者感覚が皮膚に馴染んでいると表現すれば良いのだろうか。特撮戦闘単体で見ても、兵器の残心とでも表現するしかないのだが、航空爆雷炸裂後に海上を長く漂う泡、銃砲弾が当たって炸裂してその効果を確認する各段階の間の取り方に不思議な緊張感がある。

 そして何よりも、どんな要素よりも、ザ・ピーナッツの『モスラの歌』が本当にすばらしい。
 この声は今でいうならLiaのクリスタルボイスのように、作品内のあらゆる要素全てを一つに束ね、説得力が高められている。
 物語単体としては無理な展開の多い作品だが、歌声の力でアニミズム宗教的な崇高さを得ている。