放課後は 第二螺旋階段で

「どうなるもこうなるも、なるようにしかならないのでは?」 筆者の気の向くままに書き連ねるクラシックスタイルのblogです。ネタバレへの配慮等も基本的にありません。

古き良きアメリカンTVショウ 「激突!」

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 実は見たことがない有名映画を見るシリーズその3。

 ある日、しがないセールスマンが田舎のフリーウェイでおんぼろトレーラーに遭遇する。ノロノロ運転の上に巨大で邪魔だが、親切にも追い越しの合図を出してくれた。それに従い車線変更してアクセルを踏み込む……と、そこに対向車が!ほんの数インチの距離で辛うじて身をかわす。

 「こいつは確実に私の "命" を狙っている!この "トレーラー" は一体 "何者" なんだッ……!?」

 1971年、スティーブン・スピルバーグ監督25歳のデビュー作。原作はリチャード・マシスン

スピルバーグは初めから少し懐かしい。

 この映画はホラーの傑作として非常に有名ですが、私的には、オイルショック前の雰囲気が残りつつも長きに渡るベトナム戦争で国家的に疲弊した1971年ロードサイドの雰囲気がなんとも言えない良い味を出していて印象的でした。まだまだ巨大な排気量でドロロォォとエンジン音を響かせる乗用車、BGMはトークショー中心のカーラジオ、車線がどんどん流れる…けれど景色はいまいち代わり映えしない。

 スピルバーグは人々のイメージの中にある子供時代を表現する不思議なセンスを持っています。比較的最近の作品ならば、2000年代アメリカの戦争と一介の労働者でしかない父に対する心象風景だった『宇宙戦争』、1970年代ヨーロッパの生活に溶け込んだ暗殺劇『ミュンヘン』を例にあげられるでしょう。

「今それはいい!」

 話は全く変わり、『ジョジョの奇妙な冒険 第三部』のホイール・オブ・フォーチュン戦が今作から非常に大きな影響を受けていることはもはや周知の事実ですが、他にも、シリーズを通して何度か現れる、スタンド戦の合間に偶然介入してしまう何も知らない一般人に対する感覚まで『激突!』で描写されています。

 能力者バトルゾーンであるフリーウェイから一時的に脱して常人の世界サービスエリアに辿り着きはしたものの決着はついていない所に、親切心から様々な人々が近寄って来るのですが、それがお節介で却って危機に陥る、それが仇になって彼らが命を落とす、それが新手の攻撃ではないかという不安、恐怖。この描き方に見事なものがあります。

 しんと静まり返ったサービスエリアの静寂は、ウェイトレスが差し出す水グラスのコトリという小さな音にさえ破られる。