放課後は 第二螺旋階段で

「どうなるもこうなるも、なるようにしかならないのでは?」 筆者の気の向くままに書き連ねるクラシックスタイルのblogです。ネタバレへの配慮等も基本的にありません。

「ドイツ本土防空戦 1943〜1945」 ヴェルナー・ヘルト

ドイツ本土防空戦 1943~1945 (MB)
Amazon.co.jp: ドイツ本土防空戦 1943~1945 (MB)

 冬といえば寒い、寒いといえば高高度、高高度といえばドイツ空軍の本土防空戦というわけでこの本を読了。

 以下のドイツ本土防空部隊を中心にした写真集です。

  • 第1戦闘航空団 エーザウ
  • 第2戦闘航空団 リヒトホーフェン
  • 第3戦闘航空団 ウーデット (1943年8月より)
  • 第11戦闘航空団
  • 第53戦闘航空団 ピック・アス 第III飛行隊 (1943年11月よりウィーン防空、1944年3月より本土防空)
  • 第54戦闘航空団 グリュンヘルツ 第III飛行隊 (1943年3月より)
  • 第77戦闘航空団 ヘルツ・アス 第III飛行隊 (1943年10月よりルーマニア油田防空)
  • 第300戦闘航空団 ヴィルデザウ (1943年末より昼間防空)
  • 第301・302戦闘航空団 (1943年末新設)
  • 第25戦闘飛行隊 (1943年8月-12月解散)
  • 第50戦闘飛行隊 (1943年夏-11月解散)
  • 第26駆逐航空団 ホルスト・ヴェッセル
    • 第II飛行隊 (旧第1駆逐航空団第III飛行隊)
    • 第III飛行隊 (1943年夏より本土防空)
  • 第76駆逐航空団 (1943年8月末新設、初出撃1943年10月1日)

 何が写っているのかについての解説は必要最小限のため、ある程度ドイツ空軍の人名・編成・地名を勉強してから箸休め感覚で読むと丁度おもしろい内容でした。

 全編に渡り敗戦が確実となり航空優勢を全く失った状態のため、明るい雰囲気はありません。有名エースや飛行団司令クラスの葬儀シーンも多数収録……

 JG1のハンス・フィリップ、ヴァルター・エーザウ、JG2のエゴン・マイヤー、JG3のヴォルフ・ディートリヒ・ヴィルッケ、JG11のギュンター・シュペヒト、そしてMe262の実験隊を率いたヴァルター・ノヴォトニーの国葬……

 Me163乗りの写真では「のどかに日向ぼっこしているようだが、この15分程後に離陸時の事故で死亡」などというものが含まれます。

 ドイツ空軍で作る墓に書かれる文字は Black Letter 系であることなど、本質的でない所を読み込むこともまた、写真集の読み方。

細か目の話

  • 第25実験隊(後の第10戦闘飛行隊)でテストされた装備品は……
    1. W.Gr21 ロケット弾 (Fw190、Bf110、Me410などで採用)
    2. RZ-65 ロケット弾
    3. R4M 空対空ロケット弾 (Me262で採用)
    4. Mk108 斜銃 (He219で採用?)
    5. セレン光電池式散弾発射機 (敵機の影を検知して上方に発射) (Me163でもテストされた?)
    6. 爆発物を取り付けた長さ400mの曳航式カッターケーブル
    7. Hs293 誘導爆弾 (採用)
    8. フリッツX 誘導爆弾 (採用)
    9. 敵機コクピットのアクリルを不透明化する薬剤散布装置
    10. He177 に W.Gr21 を33本垂直装備

 不透明化薬剤が成功するなら、空対空クラスター爆弾はもっと素晴らしい命中率になっていたはず……空の広さに対して十分な弾密度になり得ないためか、不採用です。

 33本の垂直発射ロケットは護衛戦闘機をつれた敵部隊を相手に射撃位置につくのは到底不可能でしょう。これもまた不採用。

 どちらも非常にユニークな装備ではあります。

  • Ta154の生産数極少数の理由

 木製機体の接着剤を製造していたゴールドマン社が空爆を受けて破壊され、レバーターゼンにあるディナミトAG製の代用品が不良で十分な信頼性を出せなかったため。戦略爆撃で完全に破壊されたのはこの1機種だけかもしれません。

 クルト・タンク本人がTa154を操縦する写真も2枚ほど掲載されています。双発機さえ操縦可能。

  • ロケット機は自力タキシング不可能

 Me262が燃料節約のためにケッテンクラートに牽引されて滑走路まで移動する有名なシーンの他に、第400戦闘航空団のMe163が牛に牽引されて移動するシーンも登場。