放課後は 第二螺旋階段で

「どうなるもこうなるも、なるようにしかならないのでは?」 筆者の気の向くままに書き連ねるクラシックスタイルのblogです。ネタバレへの配慮等も基本的にありません。

ざわめきの映画「スターリングラード」(1993年・通称ドイツ版)

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キエフ発の輸送列車 おりた時から
ハリコフ駅は 雪の中
東へ進む 兵の列は 誰も無口で
砲声(つつおと)だけを聞いている
自分もひとり 連絡線まもり
こごえそうなPAK(パック)みつめ
泣いていました
ああ スターリングラード 冬景色

スターリングラード冬景色

 冬に見ればきっと没入感倍増のこの映画を1年で最初の1本として見ました。

 この作品、イタリアでの休養シーンから始まるんですね。イタリアにいるドイツ人。そしてソビエトの戦場へ。こうそれぞれの国と言葉が登場するとヨーロッパの広さが感じられムードが高まります。

 イタリアからロシアまでの移動、行軍の長いこと……途中戦傷者たちとすれ違うのは士気が下がらないものか、実際には何か配慮されていたのか少し気になりました。移動中のドイツ軍においては、キリスト教聖職者が「アンチ宗教の共産主義との聖戦である」と演説する場面もあります。これは大戦後にローマ・カトリックナチス関係者の逃亡を助けていた実話とつながるかのような描写ですね。

 そして挑むはスターリングラード市街戦。小隊(中隊?)が突撃を仕掛ける際、敵に悟られないように静かにソワソワっと躍進。このザワザワ感から「Uボート」以来の独特な戦場リアリティが出ています。

 実際に戦闘になると、フレンドリーファイア、失禁など緊張感エピソードが続き……

 ところで話の趣旨が全く変わりますが、ここで核兵器が使えれば、こんな苦労も必要ないですね。劇中で流れるヒトラーのラジオ発言「ベルダンのようにはしたくない。少しずつ落とすのだ」を聞いてそう考えました。

 話は現場に戻り……登場人物がタバコを吸いまくっているのも実際の戦場のムードが良く出ている所です。戦闘中断時のたまり場感覚。こういう地味な描写の見事さを見ていると、ゲームで例えるならばジュード・ロウ版「スターリングラード」は Call of Duty 、こちらの通称ドイツ版は Red Orchestra か Operation Flashpoint といった所でしょうか。

 こうしばらく戦場体験を続けた後、主人公の隊長は部下を救うために軍医を脅して無理矢理治療させ、結果として懲罰部隊行きに!

 懲罰部隊での任務は雪原での地雷除去。地平線が見える雪原に風は吹きすさび空は広い……スターリングラード市街地と見事なコントラストをなしています。

 地雷除去が進んだら、次はタコツボを掘っての対戦車白兵戦任務へ。人間をたちまちバラバラにする火力と蹂躙する重さを持った戦車を吸着地雷で何とか撃退し、生き残りは皆で対戦車砲(PAK)を押して帰還……

 このシーンは、ロングショット、雪原の水平線を画面の上の方にとって、PAKを思い切って左端側に寄せる画作りで印象に残りました。

 スターリングラード市街地に戻ると、季節はクリスマスの頃に。タンネンバウムの歌声。そしてアコーディオンの音色。それはソ連軍の側からも聞こえてくるのでした。まるで、アパート全体が歌っているかのように……

 O Tannenbaum

 不条理な戦場から逃れた先で見つけるのは Heimat deine Sterne のレコード。

 そして彼らはどこまでも白い雪原へと消える……


 この映画は作品や物語としてどうというよりも、作中の空間表現に不思議な心地よさがあり、ずっと浸っていたくなるような一本でした。

細かめの話題・技術的な話題

  • 私が見たバージョンは全長135分、HDテレシネ、画角はビスタ。イマジカBS版。
    • AmazonレビューにDVDは4:3版という情報が載っているので本当なのか気になっています。
    • 135分版でもオリジナルより短いかもしれない?編集が変?段取りが必要な所で1カット抜いているようなシーンがいくつか。

2014年10月14日追記

 2015年1月に今作のBDが発売されるため、冒頭のリンクを差し替えました。
 以下は旧DVD版の記録。
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