放課後は 第二螺旋階段で

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記憶容量オーバー 「劇場版 魔法少女まどかマギカ新編 叛逆の物語」を見た

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語(完全生産限定版) [Blu-ray]
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今現在のメモそのまま。

  • 見るならレイトショー、その中でも可能な限り遅い時間帯をお勧めします。
  • 書いてて良かったまどマギ日記!
    • 訳も分からずやられるよりも、読めているのにやられてしまう方が衝撃は大きい。
      • あのシーンがここで効くとほんの一瞬だけ先読みできて、次のセリフを当てられるシーンが複数。
    • ちょっとした雑談、意味なしギャグ程度の要素でもちゃんとシナリオのベースになっているのもすばらしい‥‥
  • OPテーマの「カラフル」が映像的にも音楽的にも「コネクト」「ルミナス」を引用しているのもうれしい。
  • 映像的アイデアがあまりにも多数詰め込まれていてもう思い出すのが全然無理‥‥これが完成するまでにLSDを一体どれだけ使ったのか教えて欲しい程。
    • 極序盤にある共産圏アニメっぽい「階段を登る水」の動きからもう引き込まれていました。
      • 魔女化認識シーン辺りから正直集中力切れてました‥‥
  • 美麗であるとよくいわれる今作の背景をそう評価するのはズレていると思う。「美しすぎる建築物」と検索して出てきたもの上から10コを放り込んだような出鱈目さ、高級品であったものを材料にしたジャンクを使い込む以外に選択肢がない街に近い。
  • 変身シーンのアイデアはこれまでにない種類のものです。キャラ中心から始まって段々画面を作る側に重心を移し、最後にはそのフレーム外から詰めてくる。
    • 千手観音化の杏子と、自分自身ではない自分に衝突することで完成するさやかの変身はフレーム外から方式の代表格。
    • ほむら変身は珍しいコンテンポラリーダンス系。キャラクター性的にこれ以外ないというはまり方。
      • 今作の絵柄はただ萌え系で可愛らしいのではなく、目に入る鉛筆タッチの影が人間味を消して独特の虚無感を出しているのが特徴です。まどか変身シーンでは指で写真のフレームポーズをとらせてそこに最大限ズーム、瞳だけを見せて可愛さと恐怖を両立させるカットが特に好き。
  • 「キャラクターの人形性」が今作の特徴だと分かってもらえたような感覚です。ほむらvsマミで自決カウンター射撃をかわす時にバラバラに分解回避する技はこの方向の代表的表現。キャラクタの精神体さえ生きていれば身体が砕けても終わりにならない。むしろ砕く事でさらに一段階進む事ができる。
  • ファンの見たいものを見せて「これを喜ぶ君も加担者」となる要素が含まれているのも凄い。現実世界に対する適度なリンク。
    • ファンの夢、作品世界メタプレーヤほむらの夢、そして魔法少女団みんなの夢。それが「ピュエラ・マギ・ホーリークインテット!」でも本当にそれでいいのか?
      • 半笑いで凍り付きそうになる違和感に意味性がある。
  • 前半の理想世界で全員集合してナイトメアを倒す(?)ためのお茶会のシーンのように、物事の因果関係が崩壊している、攻撃や防御のように物理的でもない、もっと精神的な、イマジナリーな何かが決定力を発揮してもなお説得力がある、どこかがひどくおかしいと理解しながらも動き続ける世界。狂っている。
    • イメージの連続で言語的世界認識とはかけ離れている。
  • ユートピアを破壊する資格が誰にある?」という懐疑的スタンスで最終盤まで動いているさやかちゃんは今回の裏主人公。
    • 人形であるという自覚を発見した時、それを受け入れるか、ほむらのように世界のメタプレーヤとなって人形使いとして振る舞って、それでもなお人形である悲しみを背負うか。
  • 最終盤の展開、TVシリーズ第一話の世界にまで戻ってのほむらの問い「あなたは自分の人生を尊いと思う?」これに対する答えで永遠にたどり着けない差、住む世界の違い、自らの誤りと罪を悟って自殺したと解釈しています。そこまでの展開でも自殺のイメージを背負ったキャラクタ。
    • ここで kalafina - 君の銀の庭 が置かれるのが見事なはまり方。ミュージカルのラストシーンのように、死後の自分から今死のうとしている自分に対して歌われる遺書ソング状態。「君は気づいていたかな?」
    • 「愛」についてもはや誰も正しさを信じてはいないだろう。
  • 半月は実際に月が分断されているという解釈。元々歪んでいた世界の因果関係がさらに変化してしまった。心の中にしかない異形世界を完成させてしまった。
    • 「この物語に何の現実もない」という描写。ある例えばのおとぎ話。
  • これを13-16歳で見た人のこと、正直に言ってしまうと、うらやましい!

2013年11月30日追記 最終盤の展開について

 ある人にそうであって欲しいという願いのあまりに世界を「その人がそうであるため」に作り上げ、しかし「その人がそうであるため」ゆえに否定される。理想を持つ者がその理想がために否定される構造に感動していたと整理できます。

2016年08月14日追記 記憶の中の作品になってから

 何年も経った今考えても大ヒット作の劇場版としてこれほどまでに前衛的な作品が出せるものなのかという驚きに満ちています。