■ストーリー
空襲に来たワタリー隊を迎撃するウッソのコアファイター。
リガ・ミリティアの対空砲による支援を受けて時間を稼ぎ、ハンガーとブーツを装備してガンダムの姿となり撃退に成功する。
この交戦の最中、ワタリー隊には機体損傷による墜落の恐怖からパニックに陥るものが現れた。「ベイルアウトしろ」という命令さえ聞けない彼をワタリーは「戦士が死を逸れてどうする!」と斬り捨てる。
地上軍側では潜入者クロノクルがカテジナとオイ・ニュング伯爵を誘拐し脱出する。
イエロージャケット陣営は合流に成功するのであるが、クロノクルはワタリー隊の兵から「カテジナを連れてきたのは個人的楽しみのためである」「他人が戦闘している間にこんなことを」「女王の弟だからといって特別扱いはしない」などとしつこく罵倒される。この見苦しい者までもワタリーは処刑して見せる。
「騎士道など、所詮は理想でありますよ」と言ってみせはするのだが、この直後Vガンダムに復讐戦を挑む。
一瞬の油断を突かれ敗れたワタリーは、自分から全てを奪ったVガンダムを操っていたのが子供でしかないと知る。その事実に絶望し「子供が戦争などしてはいけない」と涙ながらに手榴弾自決する。
しかしこれほどの状況を目の当たりにしても、ウッソは戸惑い、核心的な実感が持てないままでいる。
「次回、機動戦士Vガンダム『ギロチンの音』見てください!」
■コメント
シリーズを通して特に有名なエピソードの一つである。
それにしても、イエロージャケットは練度が異常なほど低すぎるのではないか。精鋭と目されるワタリー隊の所属者でさえすぐに恐慌状態に陥ってしまうのだ。こう情けない部隊を率いて士気を保つには「騎士道」という内心の誇りを頼りにするしかないだろう。そして、ある願いに固執する者はそれにより絶望することになるのもまた必然である。
信じていたものが崩れ去る衝撃を前面に打ち出しているこのエピソードは、ワタリー役 立木文彦の演技の見事さとウッソ役 阪口大助の棒読み演技が生み出す落差がさらに一段と印象を強めている。
別働隊として動いていたクロノクル・アシャーはシャアになるにはナイーブすぎる性格である。誘拐作戦の際も、戦闘爆風で均衡が崩れた瞬間拳銃を拾おうとしたカテジナを撃ち殺すどころか、威嚇射撃もなく、蹴りも入れず、スカートを踏むことで制止する程だ。
■断片
- こんなシリーズであるが脚本家はキッズ向け作品関係者がほとんどである。その齟齬から富野由悠季が脚本は叩き台程度という立場を取るようになるのも納得できる。
- 星山博之非参加のシリーズである。この頃は「覇王大系リューナイト」などのシリーズ構成を行っていたと思われる。これはキッズと大人の中間的な作品に当たるだろうか。
- キッズ向けの要素を考えなくても良いアニメ脚本家が成立したのはこれよりも後の年代になるだろう。
- 星山博之非参加のシリーズである。この頃は「覇王大系リューナイト」などのシリーズ構成を行っていたと思われる。これはキッズと大人の中間的な作品に当たるだろうか。
- 絵がかなりざっくりしているのだがそれにしても原画が2人とは一体?
- 「ドッキングすると武装が強化するぞ!」ハンガー射出を目視した瞬間、ワタリーさんの解説が入ります。上半身だけを手に入れた状態でもビームシールドとビームサーベルを使えるなどガンダムの操縦についてかなり凝っている。
- ワタリー機の脱出ポッドを絡め取るなど用途無限大のワイヤー射出機能も内蔵している。