放課後は 第二螺旋階段で

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F91の遺産―機動戦士Vガンダム 第23話「ザンスカール潜入」

■エントリ概要

 Vガンダムはヨーロピアンなトータルデザインと優しさからの人類社会全体の破壊と再生という思想性の両面でF91における積み残しをかなり回収している。

■ストーリー

 ウッソたちはアイネイアースの周りに電流を流したワイヤを張り巡らせ、レーダに小惑星として認識されるための偽装網を製作する。

 これにより作られた小惑星らしきレーダ虚像に反応して、スペースコロニーへの飛来物を監視するザンスカールの本土警備学徒兵部隊が現れる。

 だが一般学徒兵とウッソでは戦闘テクニックに雲泥の差があり、ダミーを使った戦術で撃破はせずに拘束する事に成功する。

 ウッソはビームサーベルを突きつけての脅迫でパイロットを降ろそうとするのだが
「上官の命令がなければ降りられるものか!」と返され交渉に手間取り緊張が走る。

 最終的には駆けつけた上官の命令を引き出すことによりこの交渉は成功するのだった。

 こうして取り付いたコロニー外壁の物資搬入ドアを破壊し、インスタントエアロックを圧着し進入路を開拓する。

 今回のウッソの八面六臂の働きについてオデロは「目の前の事に集中しすぎるオタク的な所がある。大丈夫だろうか?」とやや不安視するのだった。

 この進入作業中、ウッソは外壁を這い回る奇妙な蜘蛛のようなマシーンを見つける。

 コロニー保守管理用モビルスーツでも戦闘用モビルスーツに対抗できる事を証明したいというコロニー公社の狂人ズブロクの製作した機体サンドージュである。操縦するのは先ほど一度投降させられた学徒兵たち。

 サンドージュは、コロニー外壁に打ち込んだ固定式機動用ワイヤ、攻撃用射出式ワイヤ、多数の足を使いトリッキーな機動攻撃を仕掛けるものの、戦闘力では全く敵わない。透明のキャノピー越しに操縦者の姿を見てしまったウッソは、それが学徒兵であると気づいてか気づかずか、この機を完全に破壊はせず足を全て切断して戦闘力を奪うことで撃破する。

 警備をすり抜けて忍び込んだザンスカール本土は、マリア主義の教えとは程遠い軍事第一の体制に成り果てていた。

■コメント

 百万の人が住むスペースコロニーを海に浮かんだ瓶のように見つけた瞬間の心境は、想像するだに壮大である。

 このコロニーの中にあるザンスカール帝国は、世界平和を望む善良な人々がそれを実行するために硬直した軍国主義体制を作り上げる逆説的状況となっている。これは ガンダムF91 のカロッゾ・ロナがノブレス・オブリージュ(高貴な者の義務)にふさわしい高い力を身につけるために不気味な鉄仮面と化した状況に重なるだろう。

 戦闘時の張り詰めたような緊張感がこの種の強い決断に説得力を与えている。

■断片

  • トーリー解説部で省略したが。今回マルチナが宇宙船内で病気にかかってしまう。現実に宇宙船内で伝染病が発生した者が出た場合、どう対処するのだろうか。飛行打ち切りだろうか。将来の火星飛行では治すしかないのだろうが‥‥


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