放課後は 第二螺旋階段で

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1980年代日本の繁栄も生んだ物流革命 ― 「コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった」 マルク・レビンソン

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった
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 貨物を統一規格のコンテナに搭載すれば荷役時間が大幅に短縮され経済的であるという古くからあるアイデアを現実のものにした起業家マルコム・マクリーンを中心に20世紀後半に起こった輸送革命を描く書です。

 コンテナ化は発想としては単純ながら、実現に移すとなると政府の運輸業規制、荷役労働者との労使交渉、コンテナのサイズと構造設定の規格化、船から降ろした後の輸送と管理の方法など問題が多数で、かれのような力強い実業家がいなければ不可能でした。

 貨物船といえばコンテナ、鉄道といえばコンテナ、トラックといえばコンテナという完結した系は第二次世界大戦後から構築が始まり、世界中で完成したのは比較的最近である1980年代になってからの事なのです。

 日本で起こった輸入品文化の大衆化も、アメリカを征服した日本製品も、この動きがなければ不可能だったでしょう。中国が世界の工場になれたのも、コンテナの存在があったからこそ。

 海運業界内においても、革命が起こりました。固定資産の割合が高く現金は乏しい企業構造を乗り越え、巨額の投資を行った者が勝者となったのです。マースクとエバーグリーンが今の地位を築き上げたのも、賭けに勝った結果なのです。

 この本は今の社会・経済システムそのものが何故この形になったのか理解する鍵になる重要な一冊となっています。

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