「次にお前は『残酷すぎる』と言う」
全てを解析し予測するコンピュータを作り上げ、そのコンピュータによる予言値に基づき、まだ起きていない未来のために断罪され、あらかじめ排除される現在の主人公。
その未来は、現代人と完全に異質な、風・重力・声・涙さえ理解することができず、感情と呼ばれるものも全く違った形態をしていて、それでも人類の末裔の種族「水棲人」に託すしかないものだった。
現代人にとって未来は受け入れられる、受け入れられない、という選択の余地は無く、連続性が残されているからこそ現代からハッキリと断ち切られたものに見える。
そして、現代にノスタルジーを感じる未来人も、未来を受け入れないという選択をすることができない。
この小説は日本SFの代表作と言われるだけある面白さで、選択の余地の無い合理主義のために消えなければならない寂しさがとくに印象的だった。
「ストーカー」等を書いたストルガツキー兄弟はこの小説をたいへん気に入って、ロシア語訳をしたそうです。