放課後は 第二螺旋階段で

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「惑星ソラリス」

惑星ソラリス [DVD]
 スタニスワフ・レムの有名なSF小説ソラリスの陽のもとに」を映画化。でも原作とは設定が同じなだけで、それ以外は全く異なっている作品。

第一部

 地球編。ソラリスへ行くまでの経緯。
 原作小説を読んでからこの映画を見た自分は、登場人物それぞれをどのような俳優が演じているかを知ってイメージ通りなことを喜ぶという楽しみがあったけれど、それがなければ絶対に寝ていた。


 映像が綺麗だということは分かっても、意味(ドラマ)がまだあまり無いので疲れてしまう。(映画は絵画と違って時間を拘束されるから、いくら綺麗でもその場での意味が無いとあっという間に眠くなってしまう)



 未来都市のイメージとして首都高速が出てくる有名なシーンは、意外と長くて少し驚き。未来都市のイメージとして使われてはいるけれど、1960年代の21世紀想像図を今見るようなズレがあってちょっと不思議な感じがする。こういう感覚をレトロフューチャーって言うのかな。
 地方人の自分は首都高をちゃんと見たことがまだ無いんですけど、都会にある高架都市高速道路なのに、なんでトンネルがあったり、その中に分岐があったりするんでしょうか・・・?東京って不思議。

第二部

 海に覆われた惑星ソラリス編。
 ソラリスを調査に来た主人公のもとに、昔自殺させてしまった妻が現れ、驚き、ロケットに詰め込んで宇宙に打ち上げてしまうが、すぐに二人目が現れ・・・



 取り返しのつかない過去の失敗を見つめ続け、その時を生き続けるという終わりの無い贖罪は、幸せかもしれないけれど究極的な自閉で、恐ろしく、何よりも嫌だと思った。贖罪の相手が自分の意識から生まれた幻影というのも虚しすぎる。
 そして、この「自閉」の中の世界は、前半で見た「眠くなってしまう美しい世界」と全く同じように作られたもの。しかし少し狂っている。それを表す部屋の中に降る雨は恐ろしくてたまらなかった。



 この映画は素晴らしい作品だけど好きになったら人生が終ってしまう。好きになってはいけない。



超ネタバレの素晴らしく仔細な解説サイト。
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/pro-sorari.html


以下後日追記分

 「終わりの無い贖罪」というのは誤りで、昔自殺させてしまった妻が消えることで終っていました。
 でも、自閉の世界に居続けることになる「幸せそうさ」と「恐ろしさ」と「虚しさ」は変わらない。


 この映画の感想が「好きになってはいけない」だったのは、最近になってやっと外へ向かう力を作れるようになった人間から見るともう飽き飽きしている、内に向かい続けることを美しく描いていたから。