放課後は 第二螺旋階段で

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「月に繭地には果実―From called “∀”Gundam」 福井晴敏

月に繭地には果実―From called “∀”Gundam
Amazon.co.jp: 月に繭地には果実―From called “∀”Gundam

 「富野由悠季が作った∀ガンダムというアニメのノベライズ」として読むとあまりにもむごすぎる話だと思うけれど、それを忘れて「福井晴敏の作った∀ガンダム」として読むと良い。

 原作の、ちょっとしたすれ違いがどんどん拡大して行って大混乱に陥っていくさまを強調し、絶対に最後の一線は越えなかったであろう人々さえも個人的情念で完全に破綻するに至るまでを緻密に描く、「富野以上に富野的」な展開。
 アニメではバカだなあと思うだけで済ませられた理念や行動も、この作品では核兵器や土地そのものを殺すナノマシン兵器や土地を消滅させる最終兵器の使用という行きつくところまで行ってしまう。
 全てをぶち壊しにしてしまうか、それを踏みとどまるか。アニメでは踏み留まるほうを選ぶことができたけれど、小説のほうの人々はそれができなかった。これでは「イデオン」の時とあまり変わらない。
 そして、踏みとどまれない人々の中、ただ一人超能力を発揮してそれを止める主人公・・・って「逆襲のシャア」のラストみたい?


 この著者が「伝説巨神イデオン」をノベライズしたら最高に物凄いものができそうだとは思ったけれど、「∀ガンダム」を書く人ではないかな、と思った。