ダウン・ツ・ヘヴン―Down to Heaven 森 博嗣 中央公論新社 2005-06 |
真っ黒な
澄んだ瞳。
その中に、
空がある。
そこへ
墜ちていけるような。
「スカイ・クロラシリーズ」第三部。航空小説はサン・テグジュペリとロアルド・ダールと、そして森博嗣が三強だと思っている位に好印象なのでこれはとても読みたい。
森博嗣ファンなので航空機好きではないけれど「スカイ・クロラシリーズ」は読んでいるという方も結構多いのですが、作中で航空機が一体何をしているのか分かるのか、そして作品がどう楽しまれているのか、他人事ながらちょっと気になってしまいます。
人間の上半身の上方左右に付いている長く突き出した可動部のことを「腕」と呼ぶのを知らずにスポーツの小説を読むくらいに辛いのでは、という印象。
「スカイ・クロラ」発行時インタビュー
やっぱりダール。
Q4
――サリンジャの引用をされていますが、この作品の世界観はサリンジャの『ナイン・ストーリーズ』にインスパイアされてできた、ということなのでしょうか?
そういうわけではありません。むしろ、ダールや、サン=テグジュペリの方が近いでしょう。ただ、表現の先鋭さと言葉の粘性に関して、サリンジャをいつも意識しています。
ロアルド・ダールの作品の中でも「飛行士たちの話」は「スカイ・クロラシリーズ」の空が好きなファンは必見の世界で特にオススメデス。
「飛行士たちの話」に収録されている「彼らは年をとらない」という短編はジブリの映画「紅の豚」の元ネタになっていたりもします。