放課後は 第二螺旋階段で

筆者の気の向くままに書き連ねアーカイブするクラシックスタイルのblog。カテゴリタグによる分類には力を入れております。ネタバレへの配慮等は基本的にありません。「どうなるもこうなるも、なるようにしかならないのでは?」

「蝿の王」 ウィリアム・ゴールディング

蠅の王 (新潮文庫)
Amazon.co.jp: 蠅の王 (新潮文庫)

 風呂で髪を洗うために目をつぶっているとき、何者かが後ろから襲いかかってくるという妄想で恐怖を感じたことがある人はよくいるでしょう。
 そしてその時、後ろから何者かに微かに触れられたりしたときに感じる恐怖。
 普段の生活の中でなら、そのようなハッキリと確認できないものと対峙した時に感じる恐怖を意思の力で抑えることができるのだろうけど、文明社会から離れた孤島という環境で、タガが外れたように極限まで恐怖の拡大が進んだ先。それがこの作品の世界。


 同じように極限状態で拡大する恐怖と狂気を扱った漫画「ドラゴンヘッド」の序盤はこの作品のオマージュらしく、思考や行動がかなり似通っていて驚いた。


 1954年に書かれたこの小説は1983年ノーベル文学賞を受賞していますが、この年はフォークランド紛争の翌年。何か政治的意図があったのか。


英国人の宗教観や思想に詳しい方による感想・考察
http://d.hatena.ne.jp/mihalita/20041231
http://d.hatena.ne.jp/mihalita/20050211/p1
わたしはこういう背景を全く知らなかったので、サイコホラーの元祖的な物語として読みました。。。

上手く文章化できなかったことのメモ

  • 文明というシステムは「主義」であって「力」ではないということの隠喩

打ちこわされるホラ貝。
当たらないように、だが投げはする投石遊び。そしてやがてその石が当たる時が来る。

  • 「意思」は人の中にあるものだけではなく、外から得るものでもある

「文明」が心の隙間を埋めて、逸脱を防ぐ意思を補強する。