放課後は 第二螺旋階段で

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「未知の剣 陸軍テストパイロットの戦場」 渡辺洋二

未知の剣―陸軍テストパイロットの戦場 (文春文庫)
Amazon.co.jp: 未知の剣―陸軍テストパイロットの戦場 (文春文庫)

 第二次世界大戦時、日本陸軍にはトップクラスのパイロットばかりを集めて新兵器のテストを行う「航空審査部戦闘機隊」という部隊が存在した。

 この本はその部隊の関係者への聞き書きを中心に、小エピソードの断片を組み合わせて航空審査部の仕事内容や生活を浮き彫りにする戦記ノンフィクション。

 航空審査部について通史的に書いた本はこれだけだと思うので、この部隊について知りたければこの本一択。


 テスト飛行さえしていれば良く少しノンビリする余裕もあった初期の生活から、テストさえままならないまま様々な新装備が試験的に実戦投入される後期の戦いへの変遷。
 「双発機は鈍重だから嫌だ」などと言って乗るのを嫌がるテストパイロットが多く開発が進まない前期。大重量の大砲を搭載した双発航空機すら現れる後期。


 bf109vs二式戦、bf109vs三式戦の同クラス対決。

 機上レーダー、斜め銃、大口径砲、ターボ過給機、与圧室。さまざまな儀装品のテスト。レーダーは敵機が左側にいると目視できそうな距離でも右側にいると表示されてしまうほどの役立たずだったり・・・


 ただでさえ日本の生産整備能力では運用が厳しかった「三式戦飛燕」を大幅にパワーアップさせ、さらに運用がシビアになった「三式戦二型」にトップレベル整備士をあて、どうにか飛ばして行われた超高高度での対B-29迎撃戦。


 弱点の無い強敵「P-51」の出現とテスト。


 ミサイル並のロケット戦闘機「秋水」、特攻専用機「剣」の登場と試験。


 そして敗戦。


 雑誌連載をまとめたものなので、わりと切れ切れな構成になっています。