第43話「脱出」
ついに最終回。
ビーム砲搭載の腕を切り放し、ありとあらゆる方向から攻撃を加えてくるシャア・アズナブルの最強機「ジオング」とアムロ・レイのシンプルな「ガンダム」、両者の高く均衡した戦闘力は、問答をしながらの戦いの中、いずれの機体もバラバラに解体されていく。
アムロ 「シャアだってわかっているはずだ。本当の倒すべき相手がザビ家だということを。それを邪魔するなど」
「…今の僕になら本当の敵を倒せるかもしれないはずだ」
「ザビ家の頭領がわかるんだ」シャア 「その力、ララァが与えくれたかもしれんのだ、ありがたく思うのだな」
シャア 「それが許せんというのなら間違いだな、アムロ君」
アムロ 「な、なに?」
シャア 「戦争がなければ、ララァのニュータイプへの目覚めはなかった」
アムロ 「それは理屈だ」
シャア 「しかし、正しいものの見方だ」
アムロ 「それ以上近付くと、撃つぞ」
シャア 「今、君のようなニュータイプは危険すぎる。私は君を殺す」
この後、アムロのガンダムもシャアのジオングも遂に全壊。両者はフェンシングで決着をつけようとする。これはもはや戦争ではなく完全な私闘!
シャア「わかるか?ここに誘い込んだ訳を」
アムロ 「ニュータイプでも体を使うことは普通の人と同じだと思ったからだ」
シャア 「そう、体を使う技はニュータイプといえども訓練をしなければ」
アムロ 「そんな理屈」
セイラ 「やめなさいアムロ、やめなさい兄さん」
「二人が戦うことなんてないのよ、戦争だからって二人が戦うことは」
アムロ 「い、今、ララァが言った。ニュータイプはこ、殺しあう道具ではないって」
シャア 「戦場では強力な武器になる。やむを得んことだ」
アムロ 「貴様だってニュータイプだろうに」
セイラ 「兄さん、やめてください。アムロに恨みがある訳ではないでしょう」
シャア 「しかし、敵にする訳にはいかん相手であれば、倒せる時に」
セイラ 「兄さんの敵はザビ家ではなかったの?」
シャア 「ザビ家打倒なぞもうついでの事なのだ、アルテイシア。ジオン無きあとはニュータイプの時代だ。アムロ君がこの私の言うことがわかるのなら、私の同志になれ、ララァも喜ぶ」
フェンシングに自信を持っていたシャアはこの後、アムロの剣をヘルメットの額で受け、シャアの剣はアムロの腕を貫き、両者戦闘不能となり戦いは一時終結する。
傷が浅かったシャアは、「ザビ家打倒なぞもうついでの事なのだ」と言ってのけたのに、それでも今までのことが無駄ではなかったということにするためか、意地でキシリア・ザビを射殺する。
シャア「ガルマ、私の手向けだ。姉上と仲良く暮らすがいい」
守るも攻めるもボロボロのア・バオア・クー要塞で、アムロはニュータイプの意思伝達能力を味方の脱出路を指示するのに使い、ホワイトベースの仲間たちの命を救う。
アムロ 「うわっ…」
「ち、ちくしょう、こ、ここまでか」
「…まだ助かる」
「…し、しかし、ホワイトベースのみんなは?セイラさんは?」
「…ララァの所へ行くのか」
ララァ 「殺しあうのがニュータイプじゃないでしょ」
アムロ 「えっ?そ、そうだな。どうすればいい?」
ララァ 「フフ、アムロとはいつでも遊べるから」
アムロ 「ララァ」
ララァ 「決まってるでしょ」
アムロ 「あ、見えるよ、みんなが」
ララァ 「ね、アムロなら見えるわ」
しかし、当のアムロの安否は不明・・・
もはや諦めるしかない状況の中、今度はカツ・レツ・キッカら子供達がアムロへ意思を伝達、脱出方向の指示をし、アムロはホワイトベースの仲間たちと再会することに成功する。
ブライト 「ジオンの忘れ形見のセイラの方が我々よりよほどニュータイプに近いはずだ。捜してくれ、アムロを」
セイラ 「で、でも、どうやって?…わからないわ」
アムロ「ごめんよ、まだ僕には帰れる所があるんだ。こんな嬉しいことはない。わかってくれるよね?ララァにはいつでも会いに行けるから」
「宇宙世紀0080、この戦いのあと、地球連邦政府とジオン共和国の間に終戦協定が結ばれた」
過去の死者との別れ、今の仲間との再会、未来の新世代の子供たちへの希望と共に「機動戦士ガンダム」完結。
- セイラがフェンシングで戦うシャアの元まで辿りつけた理由を忘れてしまった。どうやって会えたんだっけ?
- ニュータイプ能力とは無関係で、得意のはずだった剣でさえ完全敗北し、ザビ家抹殺も無意味になってしまったシャアの虚無。この人はちょっと可哀想すぎ。「ヘルメットが無ければ即死だった・・・」
- シリーズ終わりまで見てもシャアが理想とする「ニュータイプ時代」の具体像が全く分からないので、それがかなり気になってしまう。
シリーズ通しでの総評
- 物凄く面白かった!
- 映画版とテレビ版はよく似ているけれど大幅に違った内容なので、映画版だけを見て楽しんだ方は、ぜひテレビシリーズも見て欲しい。
- 「人間が描けている」。これは、発言や行動だけでなく、仕草に関しても。
- これを「越える」作品ってもう永久に出ないかも?現代の感覚からすると、かなり混沌としていて泥臭いというか、肉っぽい感覚のつくり。