Amazon.co.jp: 砂漠の惑星 (ハヤカワ文庫 SF1566)
むてき 【無敵】
(名・形動)[文]ナリ
相手となるものがないほどに強い・こと(さま)。
砂漠の惑星「レギス?」へ調査のために出発し、消息不明になった巡洋艦「コンドル号」。
巡洋艦「無敵号」は、この事件の調査のために惑星「レギス?」へと向かった。
そして、そこで発見された「コンドル号」の乗員は全滅していた。<蠅がいる・・・>という奇妙な記録を残して。
「グッドラック 戦闘妖精・雪風」の解説で少し触れられていて気になったので、積読から出してきて読んでみました。
この解説では
「人間的なコミュニケーションのできない異質な敵との戦いを描いていた。だが、レムの敵はあまりにも異質で、そもそもコミュニケーションが可能とは思えない。」
と書かれていますが、そもそも「敵」というより「知性化された嵐」という感覚。
この「知性化された〜」というテーマは、「ソラリスの陽のもとに」と共通していますね。どちらも「人間性」という概念から離れた「知性」についての考え方がとても面白い。
「無敵」という状態が成立するには「敵」が必要という感覚も面白い。
この作品は同著者で非常に有名な「ソラリスの陽のもとに」と比べると、冒険エンターテイメントやミステリィとしても普通に面白く、かなり気楽に読めると思います。
それなのに今絶版になっているのは、いわゆる「差別用語」ばりばりな訳と展開だからかな?自分が持っている版は90年代のものですが・・・
「砂漠の惑星」と「ソラリスの陽のもとに」と「エデン」で三部作になっているそうなので、残る一冊の「エデン」も機会があれば読みたい。(「ソラリス」以外は現在絶版です)
船好き的な追記
「無敵号」というネーミングは日本の感覚からすると違和感がある名前ですが、英国等では形容詞を艦名にしていることが結構あります。
スタニスワフ・レムはポーランドやウクライナあたりの出身なのですが、これらの国では艦名をどういう基準で決めていたのかな?
以下は英国で本当に使われていた艦名の例。
- 「無敵号」(インヴィンシブル)
- 「不屈号」(インドミタブル)
- 「恐ろしく凄い号」(フォーミダブル)
- 「疲れ知らず号」(インディファティガブル)
さらに追記
ソビエトやロシアでは、軍艦の名前には「人名」「地名」「共産主義関係の事件」「宗教」を使うのが普通だったらしいです。
「宗教」は「十二使徒」「聖ゲオルギオス」「使徒聖アンデレ」といった名前が使われているそうなので、「新世紀エヴァンゲリオン」みたいでカッコイイかも(笑)
ロシア戦艦艦名史