20の詩と小説の中間のような物語と、それに合わせたイラストがつけられた「大人の絵本」
森博嗣は、ミステリィよりもこういう路線の作品のほうが好き。言葉選びがきれいで、一つ一つが磨かれて使われている感じが良いのです。
「オチをつける」という発想そのものが苦手な自分は、こうこう形態のものにさえオチ(あるいは瞬間的な大きな変化)がつけられているということに驚きを感じました。
とくに好きな作品は……
海岸を歩く
情景の詩。もう空気なんて無くなっていたのに、という感じが好き。
連続ドラマ
これはふつうのショートショート風。自分語り的な路線から、好きだという感覚が出てくる。
泡の連絡
ハード工学詩。そういうものがあると知った。
汚染
著者が他の作品でよく扱う「死生観」が凝集したような作品。
美智子さんの筆入れ
ちょっとだけオカルトっぽいところがいい。優しく、奇妙。でもそれが日常という感じ。
ボート・ラボ
絵的におもしろい。元気な幽霊船。生ける廃墟。