放課後は 第二螺旋階段で

筆者の気の向くままに書き連ねアーカイブするクラシックスタイルのblog。カテゴリタグによる分類には力を入れております。ネタバレへの配慮等は基本的にありません。「どうなるもこうなるも、なるようにしかならないのでは?」

富野由悠季監督誕生日記念「リーンの翼」全6話無料配信

「リーンの翼」公式ホームページ
期間は11月5日12:00〜11月6日12:00

少なくとも全話視聴、できれば全話レビューしたいところ。(気負いすぎ)

全話見た

 展開が濃すぎておもしろい!

 これは、何話に伸ばしたら分かりやすくなる、とかそういう種類のものじゃなくて、6話でダメなら13話でもダメで、26話でもダメなものはダメだという種類の濃さだと思う。「読むぞ!」って気合いがいるというのか。
 この世界ではいちいち悩んでる暇なんかない。総ては行動で示すしかない。考えるのは動きながら。


 第二次世界大戦のとき、敵国アメリカの一方的としか言いようがない攻撃に対して、特攻隊員としてそれを止めることも、死ぬこともできず、その状態で異世界バイストン・ウェルに飛ばされてしまったために敵国アメリカを倒さなければならないという意志にとりつかれ続け、その上で今の東京はおかしくなってしまったと考える迫水の行動にはいやに共感させられてしまう。(そうなるように、若い主人公と一緒に過去を傍観することになっている。死んでいったひとびとの羽がきれい……)
 そう考えはしても、現代には現代の行き方がある。「関東平野をコンクリートで埋めれば日本人は窒息するぞ!」「そうしたから満州に侵攻しなくても戦前の倍以上の人が住めるんです!」迫水は皇居にいるというのに攻撃をかけられる。「特攻隊員に日本が攻撃するというのか?」
 迫水が命をかけようとしていたものは一体何だったんだろう?宙に浮く忠義。それでも、特攻に送り出すしかなかった人々の祈りにより、「人」を守るため、絶望もせずに最後の核攻撃をくい止め消滅する。*1

 途中からほとんど迫水の話になっちゃってびっくり。だけど当然の展開。こんな人を出してしまったらそうするしかない。

 一番最後の、地上界で死んだ後もバイストン・ウェルで残り続けた強すぎる執着から解放され、優しくなって死んでいった迫水の墓参りと「桜花嵐」は有無を言わせぬ美しさ。「霊を鎮める」ということの宗教祭事的な気持ちよさ。


 リュクスは最終話でキスしすぎと言われているけれど、あんなに閉塞した状況で安心できる力を持った人が来れば堰を切ったようにそうしたくもなるだろうと思う。そこでキスされる主人公エイサップの動じなさも「ぼくを膝で殴ったな」とかなんとかグダグダ言ってたひとが何かをやり遂げられる人間に変わったように見えた。
 でも、迫水の気迫が凄すぎて成長したはずの主人公エイサップは随分と影が薄くなってしまう。


 人々が皆複雑な多重性を持っていて、それは最近シナリオ書き遊びをしている自分から見ると「格が違う」と思う。割り切れないものを割り切れないままぶつけてくる感覚。数値にならない物は割り切れない。割り切ってしまうと、世界が閉じてしまう。


 主人公エイサップの友人2人は、初めから終わりまでただふざけていただけなようにも見える。オーラバトラーも、水爆も、何もかもをおもちゃにして。「その水爆は本物なんだぞ!一千万以上の人を殺すことになる!」「心配するなって。それでも1億人はいるだろう?」そこまでする理念があるのか?あるからといって許されるわけではないけれど、悪ふざけがすぎる。勢いだけで東京タワーも転かすのかい?日常に乗ることができない人間がますます日常に乗られなくなっていくサイクルに入ってはいけない。だからこんな人間でも元気なままでラストを迎えられた?


 主人公が「衣装が変」とツッコミを入れられたりして妙にコメディタッチになる瞬間があるのは、全体的に過剰に緊張した話なので妙に笑っちゃう。


 読解力と表現力の無さの相乗効果で意味が通じにくい文章を書いてしまったけれど、こういう勢いも大事と思ってメモをつけてみます。
(見た人ならちゃんと分かるみたいです。コメントありがとうございます)

細かめの話題

  • この作品に出ているF-35ライトニングⅡは本物よりカッコイイ。速そう。
  • エイサップとリュクスがワイヤで高所から降りるとき「こんなのじゃ手を切っちゃうよ」って言うところが、質量を持った肉で出来た人間ぽくて芸コマ。
  • 今作の「オーラバトラー」はCGならではのデザインだと思う。虫と人間を合わせたラインと動きが非常にカッコイイ。羽がチチチチチっと速く羽ばたいて飛んでいたり、関節が変な向きに曲がったり、蜂の巣から飛び立つように出撃したり。あと、地上界に出たことを怖がるような意志があるのに、斬られたら血みどろになるのが痛くって嫌だ。リアル。
  • 迫水がエイサップを「鈴木君!」と、過去の自分に対するような共感をもって(?ほぼ推測)呼ぶところが面白い。
  • 「気圧される」映像作品を見たのはひさしぶり。

*1:祈ることしかできない無力な人々の祈り→ヒーローが奇跡で超兵器を止めて消滅ってラストは富野由悠季作品の定番な気が……