放課後は 第二螺旋階段で

筆者の気の向くままに書き連ねアーカイブするクラシックスタイルのblog。カテゴリタグによる分類には力を入れております。ネタバレへの配慮等は基本的にありません。「どうなるもこうなるも、なるようにしかならないのでは?」

イル・ポスティーノ

イル・ポスティーノ [DVD]
 「素朴な味わい」とはこの映画のためにあるような言葉。ベスト3には入れないけれど、ベスト20くらいに広げると入れてあげたくなるような作品です。


 イタリアの田舎の島に、チリから世界的な詩人がやってきた。彼は共産主義者を弾圧する祖国から逃れてきたのだという。
 そんな彼の元に世界中からたくさんのファンレターが届く。そして、それを配達するために郵便配達夫が臨時で雇われる。郵便配達夫はファンレターに女性のものが多いと気付き、モテるために詩人に詩を教えて欲しいと言い、詩人はそれにこたえて「詩人になりたいのなら入り江へ行きなさい」と言う・・・・・・
 口べたな郵便配達夫は詩人との交流の中、「島で最も美しいものは?」と問われ居酒屋の娘ベアトリーチェが一番だと答え、彼女の美しさを称え贈るために、詩人とともに心のままに詩作を進め、言葉を知り、愛を知り、そして考えるということを知り成長していく。
 そんなよき日々も、チリの政変により終わってしまう。詩人が祖国へ帰る日がやってきたのだ。郵便配達夫は様々なものを得たものの、詩を書く人としては孤独になってしまう。
 詩人に手紙を送っても、彼への沢山の手紙に埋もれてしまうのか返事は届かなかった。そして数年が経って詩人が島に帰ってきたとき、詩人は詩の力が書き換えた郵便配達夫の世界を目にすることになる。


  • 登場人物は皆非常によくキャラが立っている。この映画で一番上手いところかもしれない。郵便配達夫が想うベアトリーチェへ贈る詩を楽しげに一緒に考える詩人、「ノーベル文学賞ってすごいの?」と問う郵便配達夫、「暗喩」が何なのかを知らず「暗喩でうちの姪に何かしたんだ!」と怒り出す居酒屋の店主のエピソードはとくに楽しい。
    • そのキャラクターでなければ起こりえないような小エピソードが「キャラを立てる」?
  • 汚れを知らない島の自然の美しさ。さざ波の音。星空の音。
  • 島の自然の美しさや人々の素朴さを引き立てる音楽もすばらしい。アコーディオンの音色は南米の寂しい空気を連想させるね。アカデミー音楽賞を受賞しているそうです。
  • 郵便配達夫役のマッシモ・トロイージは病気をおして出演していて、この作品の撮影終了直後に死去したという。そのせいか郵便配達夫はいつも僅かにもの哀しい空気を漂わせている。
  • 共産主義が世界を良いものへと導いてくれると信じられていた時代にいくらかのノスタルジーを感じるタイプじゃないと、感動がやや薄れてしまうかも?違った場合の感覚はぼくには分からない。

ネルーダ詩集 (海外詩文庫)

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