傑作として名高いレイモンド・チャンドラーの「さらば愛しき女よ」を前から読んでいて、何が面白いのかまるで分からず少しずつしか進めなかったんですが、今日になって、この小説は台詞を声に出して演技をつけてカメラアングルや照明や色調も調整して映画のシークエンスを組み立てるように読むと面白いということに気が付きました。
この読み方に気が付くと、チャンドラリアンという熱烈なファンが現れるのもわかります。
文章から浮かび上がる画の中で語られるマーロウの台詞は強く優しく、並の人生経験では絶対にあらわれない種類の格好良さ。
以前は、文字のほうを映像的にとらえてスイスイ読もうとして良さを全部取りこぼしてました。