放課後は 第二螺旋階段で

筆者の気の向くままに書き連ねアーカイブするクラシックスタイルのblog。カテゴリタグによる分類には力を入れております。ネタバレへの配慮等は基本的にありません。「どうなるもこうなるも、なるようにしかならないのでは?」

「世界の駄っ作機 ver PR.Mk.3」 岡部ださく

世界の駄っ作機〈3〉

世界の駄っ作機〈3〉

「ずれたままで行った 帰り道知らない 戻らない 進まない 始めからそうだった」
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 「ブギー」


 「月刊モデルグラフィックス」に連載されている「世界の駄っ作機」シリーズの第三巻。PRは"Photo Reconnaissance" 写真偵察の略らしい。
 この回には33機分を収録し、それに「XB-70ヴァルキリー編」を追加したもの。
 毎月こう珍機を見つけてしまうのだから、その捜索力は凄まじいとしか言いようがありません。


 序文は押井守。文中に出てくる「パトレイバーの監修から逃げた岡部いさくが軍事監修をしたロボットアニメ」って何なのでしょう?


 機ごとに分かれた構造の本なので、以下各論感想。

フランスの駄っ作率について

 世界の駄っ作機シリーズを通して読んでいたら、フランスのポテ社はまともな機体を作ったことが無いような気がしてきます・・・・・・
 ポテといえば駄っ作機、というくらいにこのメーカーは打率が良いです。
 何故駄目な機体ばかり作っているのに会社が存続できたのか理解できなかったのでちょっと調べてみたところ、1920〜1930年代に郵便機を非常によく売っていた会社だと分かりました。
 民間では好成績なのに軍用になるとなぜか三流になってしまうのは何故。

高性能なものは常に美しい。では美しいものは・・・・・・

 これまたフランスのシュド・ウェスト社が作った最終世代のレシプロ・プロペラ戦闘機「SO8000ナルヴァル」は駄作なのにやたらとカッコいいデザインをしています。
 イギリスのヴァンパイアとシーヴィクセンとスウェーデンのサーブJ21のいいところだけを集めてきて、さらにメカデザイナーが速そうに見えるようリファインしたようなスタイリング。
 それなのに予定の性能は何一つとして満たせないというヘボヘボ。

ブラックバーン、社名の由来は?そしてロック

 気持ち悪いラインとメカニズムが一部の人に大好評の亜音速低空侵攻機「バッカニア」をつくったブラックバーン社は「黒萌え〜!」なのではなくて、ロバート・ブラックバーンさんが作ったからこの名前になったとのこと。
 この本には「ブラックバーン・ロック」で登場。
 「ロック」は旋回砲塔が特徴の有名駄っ作「ボールトンポールデファイアント」の艦上版のような機体だから、無茶の二乗。
 駄作「デファイアント」でも500km/h以上出ていたというのに、「ロック」はたったの350km/hほどしか出ない・・・・・・
 この機はマイナー機好きに好かれるのか、「宮崎駿の雑想ノート」にも出ていました。
 WikiPediaの解説ページも妙に力が入ってます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF_%28%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F%29

 表紙の絵もこの「ブラックバーン・ロック」です。

アメリカ伝統の命名

 1935年のアメリカ・ベンディックス大陸横断レースで勝ったレーサーは「DGA-6"ミスターマリガン"」
 この機体についている名の「DGA」は「Damn Good Aircraft」の略だそうで。
 「DOOM」に出てくる最強武器「BFG」こと「Big Fucking Gun」と同じような要領だね。


アメリカはヤード・ポンド法の国ですがソ連はセンチ・グラム法の国です!

 病的なまでの生産性重視国ソ連が作った究極の簡易量産戦闘機「トマシェヴィッチ110」は、全ての寸法がセンチ単位。ミリ単位の部分がないらしい・・・・・・
 0.1mm単位でギリギリまで削っていくような日本のやり方を基準にしてみると、あまりにも大雑把すぎて呆然としてしまいます。
 構造も、桁や胴体前半といった荷重がかかる部分以外は木製、エンジンと補機一式は4本のボルトだけで留められていて一纏めにすぐ外せる、という簡易化への凝りよう。

 作りを簡単にしすぎたせいか、重すぎてものにならなかった。

ロシア人はステルスが得意

 対レーダーステルスの原理を考えたのはロシア人らしいのですが、今作には対目視のステルス機「コズロフ PS」が登場。
 「コズロフ PS」は「ポリカルポフ U-2 練習機」の羽布で作れるような部分全てを透明フィルムや透明プラ板に置き換えたスケスケ飛行機。
 冗談みたいなやり方だし、強度のために従来機通りの非透明部分も多いのだけれど、それでも相当の効果があったとか。
 この方式が大々的に使われなかったのは、オイルやススやホコリで透明部分がすぐに汚れてダメになってしまうからだそうですが、特殊作戦用に極少数機が採用されても良いのでは?と考えました。
 「フィーゼラー Fi156 シュトルヒ」のような機体がこの方式を採用したら、どこにでも楽々と潜り込めちゃいそうです。


Amazon.co.jp: 世界の駄っ作機〈3〉