ボクシングを始め、段平の指導のもと河原で無心にサンドバッグを打つジョー。
「腕だけで打つんじゃねえ!腰を入れて打つんだ!」と段平はパンチの手本を見せる。確かに強力。サンドバッグを支えるジョーはぐっと顔を歪めて堪える。*1
どうだと得意げな段平。
ところがジョーがそれを真似した途端、段平を大幅に上回る威力でぼろサンドバッグは壊れてしまうのでした。
かっこつけた段平形無し(笑)
練習の後、段平はお金を稼ぐために工事の仕事に出る。ジョーがその間に自分が言いつけたトレーニングをしていると信じて、ひたすら必死に働く。
あれだけ飲んでいた酒だって止めた。
しかし当のジョーは段平から言いつけられたランニングや縄跳びのトレーニングを一切しなかった。ジョーはただ小遣いを目当てにしていだけなのだった・・・・・・
トレーニングをせずにぶらぶらしていたジョーは、ドヤ街に月一度慈善活動にやってくる財閥の娘、白木葉子と出会う。
ジョーは新聞社を利用して慈善活動を宣伝している葉子を見て、何とか金を引き出そうとする。
そのために子分をつれて葉子に会いに行き「こいつらは施設で暮らしていた子供たちで、その施設は運営者が死んで無くなってしまったんです。そして運営者は俺の母で・・・・・・」と語り、新聞社を呼び寄せ「母の遺志を継ぐ偉いジョー少年」と宣伝してもらう。
この作戦により、ジョーは各方面から慈善金を引き出し百万円以上の金を手に入れることに成功する。
ジョーが慈善家として登場している新聞記事を仕事場で読んだ丹下段平は猛烈に怒り出す。
「こんな詐欺みたいな真似しやがってあの野郎!」
多額の慈善金を集めたジョーは隠れ家で「白木葉子の馬鹿野郎め!アハハハハハハハ!」と高笑いをあげる。
- 悪党ジョー
「少年院に入る」というのは知っていたけれど、ここまで良心の欠片もない詐欺師だとは思わなかった。何この人。頭おかしいんじゃないの。主人公としてはかなり異様。
- 段平の食い扶持
ジョーを養うために働き始める前は、売血で食っていたらしい。そんな商売日本にあるの!日本の売血は、簡単に調べたところによると1960年代まで続いていたようです。
- 悪党と貧者
ジョーにしろ段平にしろ、むやみやたらとダーティ。
物質的など貧困と、そこからくる精神にまで及ぶ貧困から始まる物語。
- 段平かわいいよ段平
ボクシングを始めるまでジョーのことをずっと思い続け、ボクシングを始めてからもジョーのために必死で働く段平の一途さは泣けてくる。
夜間工事シーンというものは、昼よりさらに必死になって働いているように見える。
*1:物理学的には別に支えてなくてもいいはずだけど、作劇のためにこうする。