恒星間スケールにまで活動圏を広げた人類は、それでも未だに戦争を忘れ去ることができなかった。
敵星圏は地球圏に転送スクリーンを輸送し、そこを拠点に攻勢をしかけていた。
主人公の宇宙切り込み海兵は、新たな転送スクリーン投入を阻止せんと敵輸送戦闘艦へ乗り込み、未来剣や未来棍棒(なんかカッコいい名前があったけど忘れた)を振り回し、敵兵をバッタバッタとなぎ倒しスクリーンを破壊するために突進していく。
皮肉系戦争SFが得意で、何となくとぼけた描写が魅力のハリィ・ハリスン作なだけあって、今作も転送スクリーンから敵兵が押し合いへしあいワラワラと出てくる描写や、「受信」状態の転送スクリーンを「送信」に切り替えて核手榴弾を送り込んで殲滅、その後「送信」の行き先を自軍基地に変更して帰還するという展開がアホ臭くて楽しい。
作戦終了帰還後はミルトンの戦いを讃える詩から言葉をひいてくることで「この血湧き肉躍る戦いを最後まで読みきってしまったあなた、どれだけ言葉で否定していたとしても結局の所戦争が好きなんでしょう?」という「それは読者のあなたですオチ」になっているのが面白いところ。この要素は出た当時のSFマガジンレビューでもほとんど見落とされていた様子。
「SFマガジン2002年9月 (通巻557号) 戦争SF特集号」に掲載。