上級士官アバデデが戦死してリーダー不在となったバッフクラン艦。青年士官のギジェとダラムは「これから誰について働けば出世できるのか」について雑談をする。バッフクランのサムライはサラリーマン社会なのだ。
彼らは新たな指揮官として戦艦ドロワ・ザン座乗のハルル・アジバを迎える。新たな同僚はハルル・アジバ直属のベテラン士官グハバ・ゲバ。
一方ソロシップは、クリスタル・スターのバジンを振り切り、今度は遺跡のある惑星にたどり着いた。ルインズ・スターと言うらしい。
コスモとカーシャは遺跡の写真撮影に出るも、持ち帰った写真を見たシェリルは「こんな遠くからの大雑把な写真では何も分からない。近接して古代文字などを写さないと…」と写真が学術調査に全く役に立たないことを告げる。実務者軍人と思考者学者では考え方が違っているのだった。手間をかけて撮ってきた写真がハネられた2人は「これが精一杯なんだ。写真が欲しいのなら自分で撮ってきたらいい」と言って怒って去っていってしまう。
遺跡調査を進めている最中、対空レーダーが飛行物体を探知する。接近した小さなそれはソロシップ乗員たちの小銃による対空射撃をすり抜けてソロシップへの接触を試みる。しかし、コスモが投げたナイフが命中し撃墜され阻止に成功する。ここはあまりにも上手すぎて笑ってしまいました。銃をかわせる飛行体をナイフで落とすって(笑)
リーダーたるジョーダン・ベスは「こんな近くでナイフを使って落とすんじゃない。爆発物を積んでいたらどうするんだ」とコスモの勢いにまかせた行動を叱責する。
飛行体はカララ・アジバの情報によるとバッフクラン軍の偵察UAVらしい。
UAVからソロシップの情報を受け取ったハルル・アジバは「戦闘的だが知恵のない組しやすい相手」と認識する。
そこで戦闘経験豊富なギジェは念のために「見た目ほどのたやすい相手ではありません」とハルルに進言をしておく。このコメントは体感の差を表現しているのに加えて微妙にメタ要素がある台詞で面白いですね。作中人物のギジェだって強そうとは思わないイデオン&ソロシップの外見。
それでもハルルは実感を掴めず、自分の部隊が強力な新型重機動メカ「ジグ・マック」を装備していることもあり、対ソロシップチーム戦闘を開始する。話半分くらいにしか聞いてくれない上司。
というわけで対ソロシップ攻勢開始。
アバデデどころではない高階級者ハルルの元でいいところを見せれば出世は確実、手抜きと見られれば軍歴が終わってしまうので、バッフクラン軍人たちは士官から兵まで皆が功を焦った行動をとってしまう。
ダラム・ズバは打ち合うイデオンとジグ・マックの間に戦闘機で割って入るという危険極まりない強襲をかける。そしてかれはその戦法がたたって被撃墜、重傷を負ってしまう。
指揮官の階級があまりにも高すぎてどう見られるのかどうかが重要すぎる場所では、正常な意思決定能力を保つのは難しいですよね…こうやって立場に縛られて柔軟性を失ってしまうのがイデオンという話。
新型重機動メカ「ジグ・マック」搭乗のグハバはイデオンと対峙したところで新型でさえ歯が立たないことを肌で感じ「ハルル様には『深追いなさるな』と伝えろ」という微妙な距離感の言葉で部下に通信命令を出す。
ハルル・アジバ指揮のバッフクラン戦闘隊は、イデオンが人のように動いてジグ・マックを殴りつけるところを目の当たりにした直後に何とか後退成功。一時撤退する。
- 社会人バッフクラン
バッフクラン軍人たちは、堅実な公務員生活をしていたらイデオンとかいう訳わからなくて強すぎて空気読まないウザイものが出てきたばっかりに人生計画がみんな台無しといった具合。
- ミリタリーSFイデオン
前回に引き続いて、人間組織の有機性、作戦行動段取りの確実さが「ミリタリーSF」って感じ。設定遊びで人気の「ガンダム」より断然ミリタリー色が強い印象を受けるほどです。「ガンダム」のほうは軍隊ものというより剣豪ものっぽい印象。
ソロシップチームも、コスモがイデオン艦長、カーシャが砲術長、モエラが機関長といった具合に実務の分担をしっかり固めることでチームワークが改善していたりもして。
- 駒が増える物語
伏線になりそうな情報はどうやって組み上げたのか分からない緻密さ。「かれだったらこう考えるであろう…」という思考の積み重ねの結果?終わりの見えない葛藤の連続。
おもしろさを生産しながらも同時に先の展開への素材と興味も生産し続ける永久機関的展開。
次回→伝説巨神イデオン 第12話 「白刃の敵中突破」 - 放課後は 第二螺旋階段で
前回→伝説巨神イデオン 第10話 「奇襲・バジン作戦」 - 放課後は 第二螺旋階段で