オタクの朝の連続テレビ小説だった『クラナド・アフターストーリー』で二次元世界を二次元世界のままリアリスティックに描く方向を開拓した京都アニメーション社は、『けいおん!!』で物語に直接関わらない過剰とも云える作り込まれた描写(良いデッサンは世界を切り取る技術力により実物以上の印象を残す。平面上だけでなく時間軸方向、動きも描き込むことができる)を経験し、それに続く『日常』では過剰描写そのものに加え原作由来のかっちりしたレイアウトと色彩設計を生かして、徹底的なオーバークオリティギャグを達成しました。
『けいおん!!』の頃から現れた、描き込みの緻密さでさも当然のように何のツッコミも無く流しているけれど少し考えると奇妙な部分をさらに伸ばしていて、不思議な可笑しみがあります。
演出・作画等においては今までに積み上がったアニメ動体視力がフルに発揮される「ハイコンテクスト」さで、ちょっとしたスポーツ的な気持ちよささえありました。今作を見ている間の映像脳は5分前の展開を覚えていられないくらい。
それに加えて、オチているのかいないのか考えるヒマを与えず次コーナーへサクサク進むスタイルによるスピードと宙吊り感、幕間に挟まる「砂時計の上に磁石を立てたら中の砂鉄が上に落ちる」等のリピート作画ヒトネタカットという構成。波長が合うと、死角を突かれたように刺さります。
行き過ぎた作りこみに意味は無い。だけど、それがいい!
「技術力の無駄遣い」を企業レベルでやり遂げたからこその面白さです。
動きそのものを見せる短編アニメーション的な面白さと、近年のキャラクター文化の面白さを融合させた結果生まれた今作は一時代の頂点とさえ云えるでしょう。
商業的には全くの失敗となりそうなため、このような過剰さそのものを面白さとして見せる作品は暫くの間途絶えてしまうのだろうと予感しています。
2011年の「最後の恐竜」
(最近のブーム 2011年04月より)