Amazon.co.jp: 魔法少女まどか☆マギカ 3 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
あらすじ
前回のラストでさやかと杏子の戦いに割って入ったほむらは、当て身一発でさやかを気絶させ、杏子はテレポートで翻弄し決闘を引き分けとする。
さやかは帰宅後、ソウルジェム の濁り取り、グリーフシード 収集の目的をキュウべえから教わる。
一方その頃、無人のゲームセンターで遊ぶ杏子はほむらから「この街を預けたい」という提案を受ける。ほむら本人は2週間後に襲来する ワルプルギスの夜 を倒せば街から去るという。
翌日。使い魔との戦いの場を調査したさやかは、杏子とキュウべえから得た情報により、魔女に苦しめられているヒトを救うために魔法少女になった場合でも、魔女狩りをやめることはできず永遠の戦士として生きる他なく、グリーフシード利益独占の邪魔になる魔法少女は排除する他ないと理解する。この報告はまどかにとってはショックだった。
不安で眠れぬまどかは「間違っていないのに、正しいことをがんばろうとすればするほどひどい事になっていく。どうすればいいの」と母に問いかけ「正しすぎるその人の分だけ誰かが間違ってあげればいい」という答えを受け取る。
翌日。さやかは今までのように上条くんのお見舞いに行くが、彼は既に退院していた。上条くん探しの結果、家にたどり着き外へと漏れるヴァイオリンの音色から彼が本当に完治したことを知る。それは心の第一位に音楽を置く天才らしい行動だった。そこで杏子が再び登場。奇跡を他人のために使うなんて馬鹿らしい、どうしても心が欲しいのなら手足を完全に破壊して身動きをとれなくして依存させれば良いなどと煽る。
さやか怒りの決闘が始まろうとした所、キュウべえの便利なテレパシーにより呼び出されたまどかが、さやかソウルジェムを通りかったトラックの荷台に投げ捨ててしまう。瞬間テレポートで追跡に出るほむら。
糸の切れた操り人形のように崩れ落ちるさやか。
「どういうことだオイ!こいつ死んでるじゃねえかよ!」この発見は杏子にとってはショックだった。
魔法少女の本体はソウルジェムで、人の身体は外付けパーツでしかなく、距離が離れるとコントロールが失われてしまうが、それによりどれほど深刻な肉体ダメージを受けても回復可能である、というキュウべえの報告は一同にとってはショックだった。
ほむらの連続テレポートにより何とかソウルジェムを取り戻すことに成功し、この場一時は収まるのだが……
回想と感想
萌え系と無機系それぞれの先端が混在している所がユニークだとは思っていましたが、まさかサイボーグにまで行き着くなんて完全に予想外。QBことキュウべえの「心臓が破られても、ありったけの血を抜かれても……」のいやに具体的なセリフ回しが迫真的です。
命と引換えに力を得た後になってようやく命が惜しくなっていく辛さがこの物語の魅力、カタルシスの源となっています。
以上が初見時の感想です。
今見ると、さやか戦を中断した杏子がビルの谷間で壁蹴りを繰り返して夕日の空へ逃げるあたり山田風太郎か菊地秀行か上遠野浩平かといった所。
杏子に対するほむらの「街を預けたい」という提案はまるでヤクザのシノギ、縄張り争い。その場所が無人のゲームセンターというのもまた香港映画でありそうなシチュエーションです。
その方向でもう一段考えると、杏子がいつも食べているお菓子は要するに煙草の代用品で、「食うかい?」は「煙草吸うか?」と勧めるシーンと同じということになります。対さやか決闘に駆けつけたほむらが「私が相手をする。手出ししないで」と提案した所に対する回答「じゃあコイツ(ポッキー1本)を食い終わるまで待ってやる」も「煙草一本吸い終わる前にボコれる雑魚だわ……」という含みで全くヤクザ。
このエピソードでの能力者決闘感覚は平成仮面ライダーを見ていると理解度が格段に高くなると思われますが、未見の私には分かりません。
最近のユースカルチャー他作品を見ていると理解度が高まる部分が多いのが一連の杏子エピソード。
細か目の感想
- 「当て身一発で気絶させるキャラコン」に花京院典明(ジョジョの奇妙な冒険)に加え暁美ほむらがエントリー。
- さやかに対して脅迫に近い圧力をかける杏子の後ろの車道を通るクルマはヘッドライトとロードノイズだけが現れて、状況に何の関わりもないどころか実線をもったモノとして描かれもしないところがさらに暗闘感覚を盛り上げています。
- 今作は中学生位の時の世界感覚、夜の不気味さをうまく思い出せるかどうかで面白さが全く変わる作品です。(思い出せない方の感覚はどうしても分かりません)
- 夜シーンが多いためか、街灯デザインは凝ったもの。ワイヤーか細桁で組まれたカウンターウェイト状の軽量トラス構造物に引っ張りのテンションで重みがかけられることでバランスする構造、発光部はカン型というもので、世界作りに効いています。(文字で説明するのが困難……現実に無い複雑なもの)
- どのエピソードもラスト10秒ほどのヒキが見事。