Amazon.co.jp: 東京ゴッドファーザーズ [Blu-ray]
日本の年の終わりと始まりに
2012年末の今見なければ次のチャンスは2013年末、それは遠すぎるという感覚で選んだのがこの映画。今敏の監督作を見ると異常に眠たくなってしまう体質でも初めて楽しんで完走出来ました。
ホームレス3人組のキャラが立っているのがなんといっても良いですね。応援したくなるやつらです。
ミユキ(声:岡元綾)のやさぐれボイス劇団員感と唯一人アニメ的可愛さのあるキャラクターデザイン。ハナ(声:梅垣義明)は声の演技力はもちろんのこと、オカマの動きの再現性と研究レベルの高さがすばらしい。ギン(声:江守徹)の憎めないまじめなダメ人間具合は作品全体を散漫にさせない不思議な引力を持っています。
この3人があまりにも凸凹すぎて団結感に乏しく、些細なことでバラバラになるのもまたいい感じです。
くっつきバラバラまたくっつき、事件に巻き込まれたり事件を起こしたり。ノンストップ展開でも人の核に迫ったり致命的にはならない安楽さ、ちょっとしゃらくさい感じもまた年末年始気分。
かれらが年始までの数日を旅する雪の街の描写は、この映画が作られた2003年頃の雰囲気がそのまま封入されたかのようにうまく出ています。今にとても近いけれど、でもちょっと古い世界。
- 「くせえなあ」「くせえのは手前だろう!」と電車内でモメるシーンで、モブがモブでなくなる瞬間に現代日本の都市を感じる。
- 「警察警察って、そんなに警察がいいなら警察の子になっちゃいなさい!」
- 「男ならアクセル!」「はいぃぃ!」
- 2002年作「千年女優」2006年作「パプリカ」のポスターが作中にちらっと登場。
- 今敏監督作に多い釋英勝の入ったキャラクターデザインは嫌いだ。感情の当たりが硬質すぎる。サイコホラー用の絵です。今作では抑えめなので楽でした。
(このエントリは2013年2月13日頃に視聴当時のメモから制作されました)