- 作者:マルコム・グラッドウェル
- 発売日: 2006/02/23
- メディア: 単行本
この本はmedtoozさんのBlogに出てきたので気になって読みました。*1
タイトル通り、直感は強い。
情報収集につとめて熟考すればそれを上回れるか?答えはそうではない。
しかし直感は説明の不可能性から信頼するのは難しく、正しい判断をみすみす見逃してしまう。さらに、自分では全く論理的理由で出したと思っているような答えでさえも自覚できない勘と偏見により出している。
この不安定で強力な「直感」を有効に生かすにはどうするか?
情報量を適度に削減して手法が有効だということは今既に分かっているという。どの情報を削減しても良いのか?それはまだ研究が必要であろう。
この思考法は統計学との統合運用が進むと格段に強力になりそうです。その点で少し惜しい印象を受けました。「直感の定量化」ほどに現代的なテクノロジはありません。
ほか箇条書きで
- 勘を阻害しないためには行動と発想の自由をもたせること。言い換えるならば、ドクトリン……訓令戦術……クレド……辺りか。
- 会話や物語すなわち発想をうまく転がすには「同意」を重ねて流れを作るのが良いという。ある程度まで展開が限定されて速度が向上する。
- RMA化され究極的なまでに強力だが複雑で鈍重な「アメリカ軍」に対して、奇襲などスピードに特化した原始的「イラン軍」(指揮:アメリカ海兵隊退役将軍ポール・バン・ライパー)が勝利してしまった演習「ミレニアム・チャレンジ2002」のエピソード登場。
- 「戦場の霧は晴らせない」知ろうとしても知ることが不可能なこと、時間と共に変化することを無理に知ろうとするのは、時間の無駄であり隙でしかない。
- 「戦争における人殺しの心理学」で有名なデーヴ・グロスマンも少し登場。緊迫感により心拍数が175を越えるような状況では人間の認識能力は低下し通常では考えられないほどに誤認が増加する。運動能力もなくなる。
- 感情が動いたヒトの表情が無意識下で一瞬反応して他人にそれと知らせてしまうのは、赤ん坊でも直感で理解できるようにして社会を構成するためではないかというアイデアあり。
- リンク先エントリと比べると自分の思考レベルがあまりにも違いすぎて少々いやになった……(書き続けるしかないのでそうするが)
*1:伽藍の誤謬と戦局眼 - レジデント初期研修用資料 http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/archives/576