■ストーリー
カサレリアの森で静かに暮らすシャクティとカルルマンの元にバイクの音が響き渡る。イエロージャケットの本隊から捜索に派遣されているバイク乗りのドゥカー・イク大尉の部隊である。
彼らがクロノクルを回収している頃、ウッソたちはリガ・ミリティアから離れて故郷カサレリアに帰ろうとする。だが、ワッパでの移動中ドゥカー・イク隊により誰何を受ける。これは誤魔化して切り抜けるのだが、リガ・ミリティアのカミオンが捜索対象になっていると知らせずにはいられないため戻ることにするのだった。
そして彼らはカミオン隊とドゥカー・イク隊の戦いが始まる頃に到着し、ウッソはマーベットが運んできたコアファイターに乗り換えて防衛戦に加わる。この機体のみでは非武装だが、すぐにカミオン隊がブーツを射出しビーム砲を装備させ対地攻撃機となる。
ウッソ機の猛烈な射撃をかわしながら「旧世紀以来のバイク乗りの伝統の復活を願う私がこれしきの事で!」ドゥカー・イクは自らを奮い立たせる。
ウッソは「僕を人殺しにさせないでよ」と発言はしながらも流れでハンガーを得てVガンダムを完成させる。
この後、ウッソの天才的技量により、敵機が谷間から見えるより早い決め打ちで損傷させるが撃墜はしない射撃を成功させた所で戦闘は一旦解散となる。
一方その頃、イエロージャケット本隊のファラはオイ・ニュング伯爵を拷問にかけていた。だが彼は口を割らずに死ぬと決意してしまった。そうなればギロチンが用意されるのである。
戦闘を終えたウッソは映像通信で公開処刑を見せられ多大な衝撃を受ける。
■コメント
珍妙なキャラとして有名なドゥカー・イクの初登場回である。「バイク乗りの伝統」といえバイク型モビルスーツでは伝統も何もないような感もあるが、しかしアクションは無人化されたモトクロスバイクのように元気でコミカルなものになっている。
この回においてドゥカー・イクと遭遇したウッソたちは「子供だから(戦争には関係ないはずだろう)」と見逃されている。子供は大人の決めた事情に従わなくても構わないのだ。大人はしがらみにとらわれて戦い続けるしかないが、子供たちなら言葉だけの反戦に従うことさえもできるはずなのだから。
しかし、リガ・ミリティアの人々はウッソが敵機を撃破してもパイロットキルはしなかったことを責め、ザンスカール帝国のギロチン放送を半強制的に見せようとするのだ。
ワタリー・ギラ、ドゥカー・イク、クロノクル・アシャーらイエロージャケットの面々が見せた良識すなわち人類そのものに対する信頼と比べると、リガ・ミリティアは戦争狂人の集団にも思えるのだが‥‥
■断片
- 本作の敵の名前は言い換えが多い。「ザンスカール帝国のベスパであり、ガチ党のイエロージャケットである」と。それぞれに立ち位置があるのだろうか?例えば「ドイツ国の国防軍であり、ナチスの武装SSである」といったように。
- このエピソードでドゥカー・イク隊がカミオンに接触したシーンに使われる「白の幻」は名曲揃いの本作の中でも特に好きな曲の一つだ。
- オイ・ニュング伯爵への拷問シーンの影の付け方がOVA調の濃さである。
- 原画の第一番目に松竹徳幸がクレジットされている。ほか、メカ系の有名人としては重田智が参加。デザイン協力は佐野浩敏。
- 古田誠丸衛は有名アニメータの偽名だと思うが詳細不明。
機動戦士Vガンダム SCORE 1
(「白の幻」を収録)