■ストーリー
ジブラルタルへの編隊飛行中、ウッソはコアファイターのキャノピーに貼り付けた鏡に発光信号を見つける。中立の宇宙引っ越し公社を装った輸送機の所属確認のため、ベスパ機が飛来したのだ。翼の把手に捕まっていたガンイージは反対舷に隠れる。ウッソ機は打ち合わせ通り有線電話を切り離して距離をとり、リガ・ミリティアの襲撃を装いベスパ機を引き離す。
こうしてたどり着いた港町バルセロナでウッソは生まれて初めて海を見る。
港町にはベスパのファラも休息のため立ち寄っていた。ファラはリガ・ミリティアの子供たちの所属組織を知らないままに知り合い、「目立つ街はベスパが来るので近寄らない方が良い」などと親切に話す。
ここでザンスカールのギロチンの設置が始まる。ファラは自分の行く先々にギロチンが付きまとうため落ち着けないことを不愉快であると思う。
ウッソはコアファイターでギロチンを破壊し、これを迎撃するために出現したザンスカール機も上半身のみ非人型状態でビームシールドとビームサーベルを使って撃破。ファラのリカールも撃退する。
■コメント
今回は戦闘シチュエーションが非常にマニアックで格好いい。映像的にも、雲海の流れやバルカン発砲煙にかかる風圧の描写にスピード感があり、その先のきらきらと光る海岸線では滑空するように飛ぶ安らぎが表現されている。第7話以来の作画監督:前田明寿、原画筆頭に松竹徳幸がクレジットされるメカに強いチームだ。
港町で休息する男装風ファッションのファラの描き方も美人である。
ファラのギロチンの家系に対する葛藤はまだ描き初めのため何とも云えないが、作品全体を通して重要な要素の一つになるだろう。「殺意を持たないままに殺戮を行えるもの」であるモビルスーツを操るために育てられたウッソに近い位置づけかもしれない。
■断片
- ウッソに死んだ子か孫の面影を見る漁師の老人については、今後の展開に繋がらなさそうなため省略した。
- バルセロナオリンピックが開催されたのはこのエピソードが放映される1年前の1992年。
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