放課後は 第二螺旋階段で

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魂の埋め合わせ―機動戦士Vガンダム 第13話「ジブラルタル空域」

■ストーリー

 人類の共有財産であるマスドライバーが配置されているアーティ・ジブラルタル空港はこの時代における中立地帯である。

 ここにリガ・ミリティアとベスパが集結する。

 ジブラルタル政府の指導者マンデラはウッソの両親と知り合いで、彼らは子供を置いて宇宙に行った事を知らせる。これにより宇宙へと上がる動機が与えられる。

 一方ザンスカール側はジブラルタル政府から思うような協力が得られないため、ファラは武力による恫喝で目的を果たそうとするのだが、根が善人のクロノクルはそれに反対するのであった。

 ちょうどこの頃、コロニー公社所属を装った輸送機がガンイージを吊り下げて着陸する所を発見される。

 この機に対する反応で、ウッソは、ファラがパブで会った人である以上に、オイ・ニュング伯爵をギロチンにかけた人であると気がつく。だが当のファラはギロチンを使わなければならないような状況に追い込んだウッソを忌々しく考えているのである。

 これにより始まった衝突で両陣営分かれた所で、ウッソを拾ったマヘリアは「あんたはいいよ、探せる両親がいるからさ。そう思えるだけいいんだよ」と語り、額に口づけをする。まるで心の中をさらけ出すことで寂しさを埋め合わせるかのようである。

 この後、マヘリア機はシュラク隊戦死者の弔い合戦だとライフルを構えてしまうのだが、この画像がザンスカールに攻撃の大義名分を与えてしまう。

 戦場となったジブラルタルでは各機マスドライバーのレールを背にして交戦するため、思うように動くことはできない。

 ウッソのVガンダムはトンネルを利用することで指揮官機リカールへの接近に成功し、ブーツを投擲して隙を作ったところをサーベルで斬ろうとするのだが、それを迎撃する射撃からの爆発でキャノピーが割れてファラの姿が見えたために殺すことをためらってしまう。

 この瞬間を突くザンスカール機を撃破するため無理な支援を行ったマヘリア機は撃墜されてしまうのだった。

■コメント

 今作は毎回非常に凝った戦闘シチュエーションを設定している。この作風は異世界のリアリズムに沿った条件を課す種類のTVゲームに慣れた人々が増えた現代の方が受け入れられやすいのではないかと思う。牽制射撃の撃ち方かわさせ方追い込み方を見ていると、QuakeUnreal Tournament の熟練プレイヤーのようでもある。

 ウッソについては、子供であるから、部隊の中においては本質的に傍観者であり、誰からの感情も受け入れる器として存在することができる。しかしながら他人の悲しみばかりをこうも真面目に受け続けていては、憂鬱にならずにいられない。

 感傷的な所を見せたマヘリアが原因で戦闘が始まってしまい、ウッソが顔見知りのファラを迷わず殺せなかったために戦死者が出る非情さもまた今作らしさだ。

■断片

  • アーティ・ジブラルタル政府の指導者の名はマンデラ。ルックス的には黒人という所以外特にモデルになっていない。声優はノンクレジットだが中田譲治
  • Vガンダム世界のMSはハッチを開けたままで行動するシーンが多い。演出が有機的になり、MSの身長を小型化したくなるのもよく分かる。
  • 今作のロボットならではのアクション作りを見ていると、マスターグレードの模型が欲しくもなる。
  • Vガンダムの水色はガンダムカラーにしてもコントラストが強すぎない。基本色の白の面も広く、これは色彩設計上のちょっとした発明であると思う。
  • リカールの通称はフライパン。
  • オリファーさんのメガネが取れた時の顔は (+ +)


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