■ストーリー
マスドライバーのチケットを確保し、ウッソは両親を探すため、マーベットはジン・ジャハナムと接触するために宇宙へと上がる。シャクティはどういう訳かあくまでもカサレリアに残ると云うのだが、内心では自分も宇宙に上がる事を確信しているのだった。
宇宙に上がったマスドライバーシャトルはデブリ雲海を突っ切る。だが、よりにもよってその最中にビームシールドが故障する。修理に出た船長の命綱には重たいデブリがゆっくり引っかかり引きずられ、彼は意識を失ってしまう。この救助のためウッソは初めて宇宙空間へと出る。モビルスーツの戦いよりも前に生身で出るのだ。
三日月のように闇に沈む地球が見える。
船長を救助した後はVガンダムの装備を使いデブリを回避するのだが、その中で「生きている」気配のある廃墟にぶつかる。
ここにはザンスカールの士官ゴッドワルドのモビルスーツと戦死した部下の遺体が残っていた。彼は連邦軍の助けなど不要と頑なでいるのだが、ウッソはそれでも救助を始める。
「戦闘中でなければ、助け合うのが海軍の伝統なんでしょう」とVガンダム備え付けの救難用酸素ボンベを渡す。その優しさの隙を突いてゴッドワルドは銃を撃つ。撃ちはするのだが当たりはしない。
「私がその気になれば今の弾だって当てられた」
ウッソは心のふれあいの機会を得た。そして故郷がカサレリアであること、由来は「さようなら、また会いましょう」の意味だと語り合う。
「カサレリア!」「カサレリア!」
挨拶を交わし再び別れる。
一方、クロノクル・ファラ・カテジナ組のシャトルはベスパの指揮官タシロの晩餐に到着する。この場で決められたファラに対する刑罰は
「宇宙漂流刑」
ギロチンの家の子として生まれた者にとってこの処刑法は、まだ救いがあると云えるのかもしれないが‥‥
クロノクルは同時に中尉へと昇進する。
儀仗兵を出しての式典のあと宇宙へと放り出されたファラは
「くそぉーーーーーーーー!!!!!」
という凄まじい絶叫と共に、太陽の方へと消えていく。
■コメント
Vガンダムのメカ描写はそれがある世界のリアリティ、道具の使い方への理解の深さが素晴らしいのだ。例えば、Vガンダムに乗っていて酸素発生器が壊れたら非常用の酸素ボンベが欲しいですよね、はいちゃんと用意してありますよという具合である。いわゆるリアルロボットのリアルとはこの辺りの艤装関係への配慮の細やかさにかかっていると思うのも良いかもしれない。
クロノクルに関しては、マスドライバー船内で無重力に不慣れなカテジナを気遣うなど、とにかくいい人だ。私はこのキャラがすっかり気に入ってしまった。だがそれが後に命取りとなるのであろうが‥‥
宇宙漂流刑に処されたファラは「生まれながらにして遠隔殺人機械に熟達する運命にある者」としてウッソと対照を成す存在であるのだが、明暗が分かれた。このときの絶叫はすさまじいもので、万が一生きて帰っても正気でいる可能性は皆無だとはっきり分かる。演じたのは折笠愛。
■断片
- ゴッドワルドの名は1950年頃の共産化されたチェコスロバキアの指導者、クレメント・ゴットワルトに由来するのだろうか?
- 遭難場所が宇宙空間に浮かぶ屋敷だったのは絵的に面白い。
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