放課後は 第二螺旋階段で

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総括、ポアの始まり―機動戦士Vガンダム 第17話「帝国の女王」

■ストーリー

 宗教的国家ザンスカールの中心マリアに謁見するドゥカー・イクは、カガチの考えた戦艦に「若干の改良を加えた」バイク戦艦モトラッドの開発を説明する。これほどの力を見せれば人々は戦わずして降伏し平和裏に事を進められるというのである。

 なぜこんなバイク戦艦を使い始める事になったのか。それは女王の弟であるクロノクルの地球地上軍がリガ・ミリティアを制圧できなかったためである。その経緯をカガチと共に説明する。

■コメント

 総集編であるのだが、枝葉の多い今作ではシナリオを整理する効果が高い。ザンスカールの精神的基盤であるマリア主義が何なのかここで説明されるのだ。

 これにより、宇宙戦国時代を平定したい心優しいマリア主義者たちだからこそ、ギロチンで最小の犠牲をもって最大の恐怖を与え支配し、バイク戦艦ともなればより一層の恐怖でその僅かな犠牲さえもなく降伏させられるという狂った論理にいくらかの正当性を見ることができる。

 この回初登場の指導者マリアの人物像とバイク戦艦の二大要素も興味を引かれる点だ。 

 宗教的な精神の理想を目指す闘争とSF群像劇が噛み合っているのが今作の特徴であるため、次回からの展開が楽しみだ。

■断片

  • 女王マリアに会う際はバッハのようなかつらを身につけなければならないらしい。滑稽だが、ギロチンを濫用したロベスピエール辺りがモチーフなのだろうか?
  • 作品の制作時期的に「ポア」(カルト宗教の論理にとって邪魔になる人物を殺すことで「救済」する)の概念はまだ知られていなかった?
    • 「総括」は既に使われていたのでこれをイデオロギーから宗教に切り替えれば自然と出てくる概念だろうか。
  • 今更ながらだが、この連載レビューは1990年代中盤の空気を再体験・追体験することを目的としている。


ロベスピエール/毛沢東―革命とテロル (河出文庫)
ロベスピエール/毛沢東―革命とテロル (河出文庫)


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