近田春夫:チャートとか売上とかで面白いのは、「ああ、実はあのときあの人はもう終わってたんだな‥‥」ということを後から気付いたりするときだね。売上があっても、あとは長いフェードアウトってあるでしょ。そのピークはどこかなというのを考えるのは好きですけどね。
この引用部、単体では面白かったんですが本編全体の構成とはほとんど関係なし。
本書は2003〜2005年のJ-popを曲だけから売上予想する連載を書籍化したものです。この時期は2015年世界から見るとアニソン・アイドル時代到来前の末期に当たると思います。最終盤にちょうど「ネギま!」で1位を狙う活動が出てくるのです。歴史書として楽しめます。
菊地成孔の筆は連載が進むにつれ勢いが乗っていき、最後にはオレンジレンジをひたすらにべた褒め。
この2曲をうまく混ぜ合わせて「ロコローション」を作り出した大胆さ、1曲からではなく2曲から引用するおもしろさが傑出しているというのです。
Kylie Minogue - The Loco-motion
shampoo - trouble
人間は誰だって2曲パクリなのである
はては50曲から引用すれば、それは「ジャンルから影響を受けた」音楽になるはずとも。
さらに、彼らが沖縄出身を強く打ち出しているにも関わらずエスニック・オリエンタル色を一切持たない事がまた面白いのです。この状況と、日本のポップミュージックは占領軍の米兵文化から育った事実をあわせて考え、現代沖縄のローカルなミュージックは完全にアメリカ的なものではないか?という方向にまで発想が進みます。現在進行形コラム集であるため結論は特に出ませんが‥‥