放課後は 第二螺旋階段で

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戦略爆撃集団の完成へ 「世界の傑作機 No.75 P-51A B C ムスタング」

Pー51A,B,Cムスタング (世界の傑作機 NO. 75)

Pー51A,B,Cムスタング (世界の傑作機 NO. 75)

  • 発売日: 1999/03/01
  • メディア: ムック

 アメリカ陸軍航空軍戦略爆撃部隊がずっと求めていたのは、敵地奥深くまで届く大航続力を持つ護衛戦闘機。それを現実のものにしたのが2000km以上飛行可能な P-51B です。最強の大戦機として有名な P-51D と比べるといくらか地味ですが、これが P-38 と P-47 を置き換え、空の支配を決定的なものにしたのです。

 この機の歴史はイギリス向け P-40 のノースアメリカン社提案代替機 マスタングI から始まりました。エンジンは同じ アリソン V-1710 でも、低高度での性能に関してはスピットファイアにすら並ぶ非の打ち所がないものだったのです。これは偵察・戦闘爆撃機として重用されました。

 アメリカ軍においても、SBD 転用の A-24 に代わる急降下爆撃機としてダイブブレーキ装備の A-36 を採用。

 この後、スピットファイアMk.IX と同じ二段二速過給器装備の新鋭エンジン・マーリン60系搭載のマスタングXの開発を経て、アメリカ生産のパッカード・マーリン V-1650 に対応し、カリフォルニア州イングルウッドの主力工場で作られた P-51B、新工場(テキサス州ダラス)版 P-51C へと進化を重ねます。

■P-51マスタングの変遷ノート(D型より前)

  • NA-73X

 プロトタイプマスタング。メーカー主導の開発で民間機扱いのためこのナンバーか?

 1942年1月配備開始のイギリス空軍向け最初期型。アリソン V-1710-39 1150hp。機首下面(プロペラ圏内)に12.7mm機銃2丁(装弾数各200)主翼に12.7mm機銃2丁(装弾数各200)7.7mm機銃4丁(装弾数各500)を装備。

 1941年9月発注で I の武装を翼内20mm機関砲4門(装弾数各125)にした強化型。150機発注からアメリカ軍割り当ても引き抜かれたためわずか93機のみ。

  • P-51

 マスタングIAのアメリカ軍割り当て分。

  • A-36

 陸上型 SBDドーントレス(A-24)の後継機。P-51系と全く別に採用された攻撃機仕様。エンジンを低高度特化の アリソン V-1710-87 1325hpに換装。ダイブブレーキを追加。機首下面(プロペラ圏内)に12.7mm機銃2丁・翼内に4丁。性能的は良好だが酷使された結果1944年春にはほとんど損耗してしまったという。

  • P-51A

 アリソン V-1710 のまま無印から若干パワーアップして1200hp。武装は翼内ブローニングM2 12.7mm機銃を左右合わせて4丁。(装弾数各300程度?)

 イギリスで開発されたマーリン60系対応の最初のマーリン・マスタング。エンジンの供給不足で生産されず。

  • XP-78

 アメリカで別に開発されたマーリン・マスタング。ほぼそのまま P-51B へ。

  • P-51B/C

 最初の量産マーリン・マスタング。パッカード V-1650-3 1450hp。航続距離2000km以上。武装は翼内ブローニングM2 12.7mm機銃を左右合わせて4丁。名前の違いは工場違いのみ。

 P-51B/Cのイギリス仕様。半バブルキャノピーのマルコムフード、RP-3ロケットを多数使用したのも特徴。(マルコムフードはアメリカでも採用)


■細々箇条書き

  • 最初のアメリカのマーリン・マスタング部隊は第9空軍の第354戦闘航空群。実戦では第8空軍隷下に移された。これは1943年12月。
  • P-51の主翼は前から40%までプライマー・サーフェイサー・パテ埋めで平滑処理が行われていた。写真では機銃の弾薬ハッチ以外何のデコボコも継ぎ目も見えない。模型で表現するならパネルラインはシャドウだけが正解と言っていい程。
  • イギリス空軍の迷彩パターンはシリアルナンバーの末尾の数字により「流れ」が異なっていたらしい。具体的な変化については不明。
  • アメリカでは第8空軍のみが地上撃破も撃墜数に算定していた。これに限らずアメリカ軍の撃墜数判定はかなりガバガバで、個人成績に関しては甘い印象を受ける。空中戦での撃墜数でどの程度敵戦力を削ることができたのか厳密に出さず、偵察写真など証拠がはっきり残るものを重視しているように思える。