放課後は 第二螺旋階段で

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「12月のベロニカ」 貴子潤一郎

12月のベロニカ (富士見ファンタジア文庫)
Amazon.co.jp: 12月のベロニカ (富士見ファンタジア文庫)


無限の長さを持つ2つの直線は
完全に平行でない限り
必ずどこかで交差する

幼なじみの少女と交わした小さな約束。それを果たすために私は生きてきた。『ベロニカ』―女神ファウゼルに仕える巫女の事だ―になるため、彼女は14歳の時に都会に連れて行かれてしまった。私は“ベロニカの騎士”となるべく、彼女を追いかけて村を飛び出した。だが、次代の神の代理人として重要人物となってしまった彼女に、ただの田舎者でしかない私は会うことすら許されなかった。その時から私の旅は始まった。10年の間に、兵士からたたき上げ騎士になり、ついに“ベロニカの騎士”となる13人の候補に選ばれたのだ。だが約束が果たされそうになったその時、事件は起きた。まるで何者かが私の運命を弄んでいるかのように…。過酷な宿命に立ち向かう、純粋な男たちの友情と夢、愛そして闘いを描く!

 第14回ファンタジア長編小説大賞受賞作。
 数年に一度出るか出ないかという「大賞」を受賞しただけあって、素晴らしく端正。素晴らしく緻密。
 デビュー作でこんな話を作ってしまったら、今後大変だろうと思ってしまうくらいに綺麗に決まっていて、読み進むにつれてパズルのピースがカチリカチリとはまっていくかのような気持ちよさがあります。
 パズルのピースがはまっていく感じがする物語が好きな自分は、最高に楽しめました。
 書評でよく叙述トリックが使われていると書かれる構成は、トリックというより純粋な構成の上手さで、先が少し読めるからこその面白さがとても効果的に出ているという印象でした。



 この著者はとても気に入ったので、続編・外伝的扱いの「眠り姫」も読みたいところです。