放課後は 第二螺旋階段で

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ジャーヘッド

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 「いずれ人を殺せるかなぁ」「知るかよ」


 なんとなく海兵隊に入隊し、厳しい訓練を乗り越えエリート偵察狙撃兵として高度の殺人技術を身につけ、その結果待っていた任務は何もない砂漠でひたすら待ち続けることだった。そんなことに一体何の技術が必要だっていうんだろう?
 ダラダラと続く退屈な、文字通り砂を噛むような日々。


 そして176日目にしてようやく発令される出撃命令。
 戦場に出はしたけれど、敵兵の姿はまるで見えず、死人が出るのは友軍の誤射を受けたときくらい。
 さらに待ち続けようやく出された狙撃命令を受け、初めて敵の姿を見たけれど、それを実行しようとしたときでさえ、まさにその瞬間標的が空爆で吹っ飛ばされてしまう。
 燃え上がる油田や空爆を目にするのは最高のショーかもしれないけれど、そんなものは技術を身につけている自分が手を下したものではない。
 そして結局みんな銃を一度も撃たなかった。だから戦勝記念の野外パーティで空に向けて撃つ。それで4日間の戦争はおしまい。
 それだけ?
 それだけ。
 自分が手を下すことも、何かを成し遂げた実感を得ることも、教訓を得ることも一切なかった。
 それでも終戦除隊後は「元海兵隊の精強」として生き続けなければならない。虚無を抱えたまま。


 現代戦争のかったるさやヒーローの不要性をリアルに表現。リアル寄りにしたせいであまりにも事件が起きないものだから、戦争映画やドラマというより、戦争をモチーフにした映像詩といった感覚の作品です。

  • 五体満足で帰れたからいいじゃないという感想をもった人については、人生に対して何の望みも持たないタイプなのかとさえ思います。自分が身につけた技術を全て使い切ってみたいとは思わないのか!たとえそれが人殺しの方法だったとしても!