■ストーリー
「オイ・ニュング伯爵はギロチン台にかけられて、ウッソは、いてはならない所にいる自分を見つけていた」
ギロチンの悪夢にうなされるウッソはカサレリアに逃げ帰ろうとする。だがリガ・ミリティアの人々はニュータイプの才能を惜しんでそれを引き留めようとするのだった。
一方その頃、ザンスカールの基地ではカテジナが朝日に照らされるモビルスーツに見入っていた。クロノクルに話しかけられると「きれいですね、マシン」と答えるのである。ここで戦いに魅入られることが運命づけらたのだろうか。
カサレリアに帰り着いたウッソとシャクティの小屋では、マリアおばさんの写真が偶然落ちてくる。ウッソはそれを見て「TVで見たザンスカール帝国の女王に似ている?」と疑問を持つのだが、この追求は脅威を知らせる犬の鳴き声により中断されるのだった。
「みんな殺されちゃうよ……!」と恐慌状態のウッソはワッパで駆け出し、パラグライダーで戦闘地域にたどり着く。
「僕は何をしようとしているんだ?」
考えるよりも先に動き出した身体がVガンダムからマーベットを降ろし、戦いの最中へと突き進む。
「怖いだろう!?いっぱい怖がるんだ!」
ウッソはギロチンの恐怖の裏返しとして、敵に恐怖を感じさせることに力を入れる。だがそこに憎悪はない。
厳しい戦いを勝ち抜いたウッソは再びの感嘆の中でリガ・ミリティアへと受け入れられる。
■コメント
「ニュータイプ」の語は早くもこの回で登場する。誰よりも優れた操縦技能は人類の宝であり、人々に讃えられ、否が応にも戦いという状況へと組み込まれていくのだ。だがその能力の持ち主が子供でしかないのなら、自由な意思を否定するような結果にしかつながらないのではないだろうか?
ウッソがリガ・ミリティアから一度離れるこのエピソードは、機動戦士ガンダムの第19話から第20話に対応している。この2エピソードでは戦闘に嫌気がさしたアムロがホワイトベースから飛び出し、一個人として尊敬できるランバ・ラルと出会い、セイラは慣れぬガンダムで出撃し力の差を知るのである。だが今作では何の成長の余地もなく、ただ恐怖と力を利用する者があるのみである。